世界銀行のシャムス・ラハルジャ上級エコノミストは19日、対米ドルで弱含んでいるルピア相場が、来年にも上昇基調に転じるとの見通しを明らかにした。世界経済停…

インドネシア

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ラハルジャ氏は、みずほコーポレート銀行の現地法人が同日に開催した財務セミナーでＮＮＡに対し、インドネシア経済が引き続き高成長を維持し、株価指数も過去最高の水準で推移する中、ルピア安の傾向が止まらないのは、経常収支の赤字が続いているためと指摘した。
世界的な経済情勢の悪化により、主要な輸出品目であるコモディティの需要が減速していることが主因と説明。旺盛な個人消費や投資の拡大による資本財の流入増で貿易収支が悪化していることも背景にあると付け加えた。
ただ、ルピア安を食い止めるため、中央銀行が積極的な為替介入を実施することに関しては否定的な見解を提示。当面は緩やかなルピア安を許容し、「輸出産業の価格競争力を高めることで経常収支を改善させる必要がある」と述べた。
主要貿易相手国の国内総生産（ＧＤＰ）が来年に、今年予測の3.3％から3.6％へと上昇することから輸出の回復が見込めるため、ルピアの下落基調は止まると予測。一方で極度のルピア高に振れることはないと付け加えた。
足元の為替相場は１米ドル＝9,600ルピア前後の値動きで、年初からは５％安と弱含んでいる。

■投資加速でさらなる成長を
同氏はセミナーで、今月15日に公表したインドネシア経済の四半期の報告書を基に、同国経済の見通しなどを解説した。
世界経済の先行きは不鮮明な状況だが、内需主導のインドネシアは引き続き耐性があると強調。貿易収支は悪化しているが、製造業を中心に海外直接投資（ＦＤＩ）が増えていることが経済成長を下支えしているため、「大きな問題ではない」と語った。
一方で潜在的な経済成長率が７～８％ありながら、６％台にとどまっていることが課題と指摘。政府が規制の不確実性を減らすことや事業環境を改善することで投資をさらに加速させる必要があるとの見解を示した。

■リスク回避の動き乏しく
セミナーでは、みずほ銀シンガポール財務部門のヴィシュヌ・ヴァラタン上級エコノミストも講演し、依然として緊迫した状況にある世界経済のリスク認識度や見通し、為替相場の予測などを示した。
リスクの認識に関しては、世界各国での前例のない金融刺激策の影響などで市場が「ゆがめられている」と強調。結果としてリスクを回避する動きが乏しいと指摘した。保護主義的な政策が続いていることや、尖閣諸島をめぐる日本と中国の衝突といった地政学的なリスクも懸念事項として挙げた。
世界経済は不鮮明である状態は続いていると強調。今後はリスク回避に向けて米ドル高が進む一方で、ユーロが弱含むとの予想を示した。円相場に関しては、日本経済のファンダメンタルズが弱いにもかかわらず対米ドルで円高が進んでいる状況を説明。今後はやや円安に振れるとの見通しを明らかにした。
みずほの現法であるバンク・ミズホ・インドネシアは、財務セミナーを年１回開催している。今年は現地企業の財務担当者を中心に約270人が参加。世界経済の情勢がインドネシアに及ぼす影響や、今後の為替相場の動向などで活発な質疑応答が交わされた。
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