【22年の10大ニュース】ウクライナ侵攻、ロシア一色
2022年は、ロシアに大きく振り回された1年だった。2月24日に突如ウクライナへの軍事進攻を宣言し、ミサイル攻撃や空爆を開始。国際社会は批判一色となり経済制裁に踏み出す国が相次いだが、ロシアはガスの供給停止などで反撃、エネルギー価格高騰を招いた。食品なども含め急速にインフレが加速し、リセッション(景気減速)が世界的に広がるきっかけとなった。
欧州はロシアとの間で、北大西洋条約機構(NATO)で軍事的防波堤を築く一方、過度にエネルギー依存する矛盾を抱えていた。そのため、今回、軍事侵攻で一線を越えたロシアに対し、これまで中立の立場を貫いてきたフィンランドなど北欧2カ国がNATO加盟に動き、エネルギー調達も脱ロシアが進んだ。欧州にとって、軍事、安全保障両面で大きな転機となった。
政治面では、英国で約3カ月の間に首相が3人も変わった。最後にバトンを受け取ったのは、ジョンソン政権で財務相を務めたスナク氏で、英史上最も若く、初のインド系首相として注目を集めた。欧州では右派政党の躍進も目立ち、イタリアでは右派連立政権が誕生し、スウェーデンでは極右政党が台頭した。
22年は、2年以上続いた新型コロナウイルス対策の外出自粛などが撤廃され、国を越えた自由な移動が許され、経済活動も通常運転に戻った。その一方、これまで負担を強いられてきた業種や物価高で疲弊する人々の我慢も限界に達し、各国で大規模なストライキが頻発した。いまだ収束の糸口が見いだせないウクライナの戦況を抱え、欧州は最後まで落ち着かない1年となった。