連邦制移行に向けて議会で審議が進む憲法改正案について、カトリックのイエズス会が運営する国内私立５大学の学長がこのほど、異議申し立ての声明文を共同で発表…

フィリピン

連邦制移行に向けて議会で審議が進む憲法改正案について、カトリックのイエズス会が運営する国内私立５大学の学長がこのほど、異議申し立ての声明文を共同で発表した。憲法改正について、民主的な手続きが無視され透明性がないとして、拙速な改正審議に待ったをかけた形だ。
共同で声明を出したのは、アテネオ・デ・ザンボアンガ大のカレル・ジュアン◇アテネオ・デ・ダバオ大のジョエル・タボラ◇アテネオ・デ・マニラのホセ・ビラリン◇アテネオ・デ・ナガのロベルト・リベラ◇ザビエル大学アテネオ・デ・カガヤンのロベルト・ヤップ――の各学長。
５人は、議会で審議が進む憲法改正案について、◇政治的独裁を禁じる現行憲法の規定を無視◇国会議員の任期についての規定◇社会正義と人権に対する記述――の３点の重大な欠陥があると主張。独裁禁止の規定は過去の長期独裁政権への反省から1987年に制定された現行憲法で初めて盛り込まれた規定だが、今回の修正案では削除されており、政治権力が特定の者に集中する懸念があると指摘している。
また、現行憲法で保護された労働権、土地私有権など国民の権利についても修正案では削除されていると批判した。　
ドゥテルテ大統領が公約に掲げた憲法改正をめぐっては、下院が今月11日、早期改正を求めた両院決議（ＲＨＢ）第15号を可決し、年明けからは上院でも審議が始まる見通し。
５大学の学長は声明の中で、「信頼性を高めるためには適切な段階を踏むべきだ」と強調し、幅広い国民の声を聞くよう忠告した。

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