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【16年の10大ニュース】新時代の幕開けも不透明感続く

2016年はタイの歴史に刻まれる変革の年となった。在位期間が70年に及び、「国父」として国民に敬愛されたプミポン国王が10月に死去し、ワチラロンコン皇太子が新国王に即位した。新たな時代に突入したものの、国内にくすぶる懸念材料は払しょくされていない。政治面では、14年5月のクーデターで全権を掌握した軍部がいまも政権を担う。新憲法草案が国民投票で承認され、民政復帰に向けた一歩を踏み出したが、国王の死去もあり、当初は17年末を予定していた総選挙が18年以降にずれ込む可能性が浮上している。経済面では、16年は4年ぶりに3%以上の成長率を確保する見通しとはいえ、政府の公共投資や景気刺激策が支えた格好。内需、輸出とも不調で民間投資が伸び悩み、好調を維持していた観光業にも陰りが見え始めている。保護主義の台頭など世界情勢の急激な変化が懸念される中、来年は国家の成長に向けて、新国王の下で国民がどこまで一丸となれるかが問われる年になりそうだ。