香港に本社を置く複数の縫製企業が共同でミャンマーに生産拠点を設けることが分かった。ヤンゴン近郊のティラワ経済特区(SEZ)に縫製専用の工業団地を開発し、2016年中の稼働を予定している。衣類の一大生産地の中国では人件費が高騰しており、縫製各社の収益を圧迫している。各社は人件費が中国の5分の1とされるミャンマーにも生産基地を置いて生き残りを目指す。
11日付の香港紙サウスチャイナ・モーニングポストによると、香港の縫製企業が入る工業団地は15年半ばに着工される見通しだ。ティラワ経済特区の第1期工事が完了して工場の入居が可能になるからだ。16年の稼働後は3万人以上を雇用する。現地人従業員の賃金として月額100~120米ドル(約1万~1万2,000円)を想定している。
香港の縫製企業12社が共同で工業団地を立ち上げる。香港の立法機関である香港立法会に所属するフェリックス・チュン氏が各社を代表して開発に向け契約を結んだ。50年にわたり用地を利用できる契約で、賃料は年間5,200万米ドルと報じられている。
各社はミャンマーでの生産開始を視野に現地従業員に対する研修制度も始める。ミャンマーの労働省の協力を得てヤンゴンに研修施設を開設し、香港から専門家を招き技能講習を行う。縫製業界の労働生産性が中国に比べ低いという現状を踏まえ、研修制度を通じて一定の技能を持つ労働者の確保を目指す。
香港の縫製企業は主に中国で衣類を製造しているが、人件費の高騰にかねて頭を悩ませていた。代替地の確保が急務になっていたが、検討の結果、中国に比べて人件費が大幅に低く日本や欧州による特恵関税が適用されているミャンマーに進出するのが得策と判断した。
ファッション業界ではミャンマー製品への注目が急速に高まっている。中国に比べて人件費が圧倒的に安いからで、ミャンマーに縫製を発注する動きが活発化している。縫製企業数が増加しており、昨年9月時点で約280社と10年6月に比べ90社増えた。
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