香港日本料理店協会会長も務める味珍味(香港)の呉宝舜(フランキー・ウー)主席と、小売り「アピタ」などを展開するユニー(香港)の中村敏雄社長は11日、コーズウェーベイの香港日本人倶楽部で、「日本食品の東日本大震災後の落ち込みとその後の回復状況」と題して講演を行った。
呉主席は、香港では日本料理店が原発事故に伴う風評被害の影響を一番被ったとした上で、「業界としては基本的に震災前の売り上げに戻ったと言えるが、高級店は接待の自粛などもあり、まだ震災前の8割ほどしか回復していない」と述べ、震災後4カ月を経ても一部店舗の経営は依然として苦しい状況にあると明らかにした。
さらに、こうした高級店の価格設定に対する消費者の目が厳しくなっているとの認識を示し、「値段調整に向けてこれから厳しくなる」と述べ、値下げを迫られることでさらに売り上げが減少する可能性について言及した。
中村社長は「まだ日本の商品に対する不信感があるのではないか」と発言。生鮮食品では、日本の果物は他国産品に切り替えてカバーできた一方、野菜については他国産品ではカバーしきれていない現状を説明した。
ただ、これまで日本産品を愛好していた香港の消費者がそうした他国産品に慣れてしまうことに懸念を表明。「『割高な日本産品でなくてもいいのでは』と思われるのを心配している」と心情を吐露した。
懸念を払拭するに当たっては、中村社長が「放射能の問題が解決しなければ、今後の推移を読みづらい」と話し、呉主席は「日本側から安心・安全を保証する証明書を発行してほしい」などと要望を述べた。
■震災後、20店超が閉店
一方、11日付明報によると、大震災以降、香港の日本料理店20店超が風評被害による売上減で閉店に追い込まれたという。
この記事について、呉主席はNNAの取材に対し、事実関係を追認した上で、「風評被害の影響というよりも、賃料の高騰に耐えられなくなったところが多いのではないか」との見方を示した。
同主席によると、香港の日本料理店は800店舗ほどに上るという。<香港>
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