広東省政府は25日、提案していた同省の金融改革案が国務院(中央政府)の認可を得たと発表した。珠江デルタ地区の9市、西部の湛江市、東部の梅州市を改革の試験区に指定する。浙江省温州市の「民間金融」を中心とした改革とは異なり、クロスボーダー人民元決済の促進など海外との取引を意識した「国際金融」に主眼を置くのが特徴となっている。26日付南方都市報などが伝えた。
金融改革案の中心となる珠江デルタ地区は、華南地域の金融中心地として開発を進める。また湛江市では都市部の金融資本を農村部の発展支援に充てる「城郷金融協調発展金融改革」、梅州市では農村部の土地使用権や経営権を担保とした融資の解禁を中心とした「農村金融改革」を試験導入する計画だ。
香港やマカオとの一体化モデル地区として開発が進められている、広州市南沙区、深セン市前海地区、珠海市横琴新区を金融改革のモデル地区とし、各地区でクロスボーダー人民元決済業務の開放を進める。区内企業による香港でのオフショア人民元建て融資の取得、並びに香港での人民元建て社債の発行を順次解禁する方針。前海地区と横琴新区では、人民元と外貨の交換自由化も試験導入する。不動産投資信託(REIT)の解禁や個人住宅ローンの証券化についても、リスク管理制度とともに検討するという。
珠江デルタ地区ではこのほか、◇個人向けのクロスボーダー人民元決済業務◇香港・マカオ企業からの人民元建て直接投資◇香港金融機関による証券投資ファンドの販売業務――も開放する予定。また、広東、香港、マカオの金融業界従業員の業務資格の共通化と、金融取引をめぐる争いの仲裁機関の設立も視野に入れている。
広東金融学院の陸磊・院長は、「珠江デルタ地区は既にポスト工業化社会に移行しつつある」と指摘し、労働集約型産業から資本集約産業に構造転換を促す必要があると述べた。<広東>
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