オーストラリア国税局(ATO)が、税紛争での大企業による秘匿特権の乱用に対処するため、機密文書の提出を求める通知への回答に関し新たなプロトコル(手順)を公開した。納税者が法的助言を開示しない権利を支持しながら、ATOがほかの全ての関連文書が提供されていることを確信できるような枠組みだという。オーストラリアン・ファイナンシャル・レビューが伝えた。
ATOは、秘匿特権の行使により規制当局や株主から税務、監査情報を隠ぺいしようとする事例が相次いだことから、法律専門家による同特権の不当な主張を抑制しようとしてきた。新たなプロトコルには、秘匿特権の対象となる内容を特定するためのガイダンスが含まれている。
ATOは、納税者が質の高い専門的な法的助言を受けることを望んでいるとした上で、調査や監査における事実を立証するため、納税者との継続的なかかわりやタイムリーな情報提供に依存していると説明。無謀な秘匿特権の主張により、提出が要求されている文書を隠そうとする行為は、調査を不当に妨げ、情報収集に関する紛争を拡大させることになるとした。
米ベーカー&マッケンジー法律事務所は、秘匿特権の主張の仕方について切望されていた指針を提供するものだとして、新しいプロトコルを歓迎している。
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