カンボジアのフン・セン首相は10日、ミャンマー国軍のミンアウンフライン総司令官に書簡を送り、政治犯に対する死刑執行を取りやめるよう要請した。死刑執行は国際社会の大きな非難を呼び、国内に禍根を残すと警告した。
書簡では、ミャンマー国軍が死刑承認を発表したことを受け、東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟各国が深い懸念を示していると説明。今年のASEAN議長国としてミャンマー情勢の正常化を支援する中、これまでの外交的努力に冷や水を浴びせることになると訴えた。
ミャンマー国軍は、クーデター後の軍政に対するテロ攻撃を首謀したなどとして、著名民主活動家チョーミンユ氏(通称ジミー氏)、クーデター前の与党「国民民主連盟(NLD)」のピョーゼヤートー元議員ら4人の死刑を承認したと明らかにした。民主派の武装組織の一部は、死刑が執行されれば国軍に報復するとの考えを表明している。
カンボジアは、昨年2月のクーデターで実権を握ったミャンマー国軍に欧米などが圧力を強める中、調整役を担おうとしている。同国のクン・ポアク外務次官は7~11日にミャンマーの首都ネピドーを訪れ、同国の国軍が国際協力相と外相にそれぞれ任命したコーコーライン氏、ワナマウンルイン氏らと会談。ASEANが5月5~6日にミャンマーへの人道支援で協議した内容を前進させるための話し合いを行った。
ASEANとミャンマー国軍は昨年4月、ミャンマー国内の全当事者による暴力の即時停止や平和的解決に向けた対話開始、ASEANによる人道支援など5項目で合意していた。
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