先月9年ぶりに行われたタイ・バンコク知事選挙は、無所属で出馬したチャチャート・シティパン氏(55)のブランディング力による勝利だった。
チャチャート氏は2019年の前回総選挙では、軍主導のプラユット政権と対立するタクシン派政党、タイ貢献党から出馬した。今回は「中道」という立場で選挙に臨んだものの、実際は、独自候補の擁立を見送った貢献党から支援を受けた。さらに、タクシン元首相派のインラック政権で運輸相を務めた実績をアピールすることで、「ストロングマン(強権的な指導者)」というイメージを作り上げた。効果は絶大。知事選では、左右両陣営から支持を集め、13年の知事選挙で過去最高の得票数で当選したスクムパム氏の125万票も上回った。
ただ、これでバンコク都民の民意が変わったと考えるのは早計。来年行われる総選挙の結果こそがバロメーターになるだろう。(阿)
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