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【アジアで会う】梁瑜さん シンガポール日本商工会議所事務局長 第393回 職員1人1人のファンを増やしたい(シンガポール)

梁瑜(りゃん・ゆ) 中国・遼寧省瀋陽市に生まれ、北京市で育つ。1989年に北京の大学に入学し英語を専攻。94年に早稲田大学商学部に入学。98年に大阪商工会議所入所。2007年に日本の国籍を取得した。今年3月にシンガポールに赴任。夫は日本人。週末には自宅コンドミニアムで夫とテニスを楽しむ。

4月にシンガポール日本商工会議所(JCCI)の新事務局長に選任された梁さん。同会議所の事務局長に女性が就任するのも、日本以外の出身者が選ばれるも初めてだ。「当所の職員は全員女性。長く勤めている人ばかりで心強いです」と流ちょうな日本語で説明してくれた。

日本との縁は、北京の大学3年時に大学を中退し日本へ留学したことから始まった。当時中国では国立大学卒業後、5年間は「国に奉仕」するため海外への私費留学が禁じられていた。早く海外に出たかった梁さんは大学卒業前に留学しようと考え、家族の親友が住む日本を選んだ。中高生の頃に山口百恵さん主演のドラマを見るなど日本文化には慣れ親しんでいた。

92年から東京の日本語学校で1年半学んだ後、早稲田大学に入学。在学中に語学学校で中国語教師のアルバイトをした経験を生かし、NHKテレビ中国語会話に講師として3年間出演するなど学業と仕事を両立させた。

語学学校やテレビ出演で多くの社会人と交流する中、知人から「梁さんのイントネーションは関西に近い」「明るい性格で関西の方が性に合っているのでは」と言われるようになった。就職活動に入っていた梁さんは、自然と関西の企業・組織に目を向けるようになった。

■人との縁で大商入所

そんな時、大学の同級生が「大阪で親戚が働いている」と教えてくれた。親戚の女性は大阪商工会議所(大商)の会員企業に勤めていた。女性に連絡を取ると、大商は国際交流に力を入れており、梁さんが活躍できる場ではないかと勧められた。さらに大商の人事担当者に連絡し、外国人採用の有無も確認してくれた。そんな人との縁が大商への入所につながった。

大商では、2007年まで約10年にわたり国際部に所属。関西企業の中国進出を支援する中国ビジネス支援室の立ち上げなど、海外とのビジネス交流に深く携わった。08年からは大阪外国企業誘致センター(O―BIC)で、大阪への外国企業誘致の仕事も担当。シンガポールに赴任する直前まで同センターの事務局次長を務めた。

01年から現在まで、大阪に進出する外資系企業を国・地域別にみると、中国が首位という状況が続いている。大商での仕事を通じて、空路のアクセスが良い関西・中国間の経済関係が緊密につながっていることを肌で感じた。

長いスパンで海外ビジネスの支援事業を手掛けていると、時代ごとに印象に残る動きもあった。08年のリーマンショック時には、大阪に拠点を置く外資系企業が東京に拠点を集約したり、日本から撤退したりして減少した。

15年頃にはインバウンド(訪日外国人)ブームで外国人観光客が大阪にあふれ、免税店で日本製品が大いに売れた。企業からの相談を通じてこうした動きを目の当たりしてきたと感慨深く話す。

海外出張が多い職場で英語の必要性を感じ、07年には職員留学制度を利用してオーストラリアに半年間留学。この直前に日本国籍を取得した。日本人と結婚したことがその理由だが、中国より日本の旅券の方がビザなしで海外に渡航しやすいという利点もあった。

■会員企業向けサービスの充実目指す

入所から24年目を迎えた今年3月、初の海外赴任先としてシンガポールに降り立った。以前から海外で経験を積みたいと自己申告していたことが実現した。

今考えているのは会員企業向けサービスの充実だ。新型コロナウイルス下で会員企業数はコロナ禍前と比べてわずかに減少した。ただ感染対策の緩和が進む中、徐々に会員数は回復しつつある。今後は有益な情報の提供や交流機会の拡大を通して会員企業を増やしたい考えだ。

日系以外の外資系企業とのネットワーク構築にも力を入れたいと意気込む。自身の出自を生かし、中華系が多いシンガポールで現地企業との交流を活発化したり、タイやベトナムなど他の東南アジアの国々の情報を共有する体制を強化したりする取り組みを進めたいと思っている。

若い頃に大商の上司から聞いた「職員1人1人のファンを増やす」という言葉が今も心に残っている。職員のファンが増えれば商工会議所全体のネットワークが広がるからだ。大切な職員に魅力的な職場環境を整備するため、ポストコロナ時代の働き方にも心を砕く。「在宅勤務を含めて働きやすい環境を作り、長く働いてもらいたい」。新天地での取り組みに梁さんは目を輝かせた。(シンガポール&ASEAN版編集・清水美雪)


関連国・地域: シンガポール
関連業種: 社会・事件

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