キャセイパシフィック航空のジョン・スローサー最高経営責任者(CEO)はこのほど発行された社内報「CXワールド」最新号に寄せたコメントで、燃料費高騰など厳しい経営環境に強い危機感を表明した。必要と判断した場合は減便や一部機材の運航停止も検討するとしている。
スローサーCEOは、前年比60.8%の減益に終わった昨年12月期決算に触れて同年の経営環境が厳しかったことを指摘した上で、今年はさらに悪化しかねないとの見方を表明。高騰が続く燃料費のほか、みるべき回復に至らない航空貨物輸送を要因として挙げた。欧州の債務問題も円満な解決には至っておらず、世界経済には依然、危機が潜んでいるというのが同CEOの認識だ。
経営環境が今後も悪化するようであれば、キャセイ航空は有効なコスト削減策を果断に実施しなければならない、とスローサーCEOは強調。必要な場合検討するとした減便などは、事業と従業員・株主・顧客の利益を守るための措置だと説明した。
一方、唐偉邦(ジェームズ・トン)収益管理部長は、旅客輸送部門の利益率低下も経営の足を引っ張っていると強い懸念を表明。昨年第4四半期(10~12月)にエコノミークラスで始まった利益率低下は、今やファーストクラスやビジネスクラスにも及んできたと明らかにした。
唐氏は要因として、景気の低迷に伴い、多くの企業が出張費を削減していること、観光旅行にも様子見ムードが広がっていることを挙げた。香港市場については、金融機関を中心とする企業の出張費切り詰めにより、シンガポール便やニューヨーク便といった主要路線が打撃を受けているという。<香港>
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