ミャンマー最大都市ヤンゴンの裁判所は26日、同国の国軍系複合企業によるキリンホールディングス(HD)との合弁会社の清算の申し立てを却下した。申し立ての根拠法令が誤っているというキリンHDの主張を認めた。
国軍系複合企業のミャンマー・エコノミック・ホールディングス(MEHL)は2021年11月、キリンHDとの合弁会社のビール大手ミャンマー・ブルワリー(MBL)の清算をヤンゴン西地区裁判所に申し立てた。
これに対し、キリンHDは、エコノミック・ホールディングスの申し立ては「根拠法令が誤っている」と指摘し、却下するよう裁判所に求めていた。申し立ての根拠となった会社法の条文は、新たに制定された倒産法の施行により無効となったとされている。
裁判所の却下命令を受け、エコノミック・ホールディングスが根拠法令を修正した上であらためて清算を申し立てる可能性はあるが、キリンHDは21年12月に提起した商事仲裁や当事者間の協議を通じた解決を要求していく。
キリンHDは21年2月のクーデター直後に、エコノミック・ホールディングスとの合弁関係を解消することを決定。交渉に取り組んできたが、エコノミック・ホールディングスがキリンHDの提案を拒否する態度を示したため、子会社を通じてシンガポール国際仲裁センター(SIAC)に商事仲裁を提起している。キリンHDの磯崎功典社長は共同通信に、合弁解消の協議を今年6月末までに決着させたいとの考えを明らかにしている。
裁判所が国軍系のエコノミック・ホールディングスの申し立てを退けたのは、裁判所を統制下に置く国軍が外国投資家の視線を意識したためとの見方もできる。
国軍が任命した投資・対外経済関係相として、投資環境の整備に取り組んでいるアウンナインウー氏は昨年12月、共同通信などとのオンライン会見で、キリンHDの合弁解消問題に「法律に沿い解決されるべきで、司法介入はしない」と強調していた。
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