ベトナムのコングロマリット(複合企業)ベトナム投資グループ(ビングループ)のファム・ニャット・ブオン会長は、傘下の国産車メーカー、ビンファストが国内で電気自動車(EV)の販売を始めたことを受けて、国内の充電設備を年内に15万基まで増やし、現在の約4万基から一気に3.75倍にする計画を明らかにした。ネットメディアVNエクスプレスが18日付でインタビュー記事を配信した。
■起死回生で世界ブランドに
ビンファストは今月上旬、米ラスベガスで開催された世界最大級の家電IT見本市「CES」で、EVの新型車を披露した上で、ガソリン内燃エンジン車の生産を2022年中に停止すると発表。今後は市場拡大が見込めるEVに特化する方針を示した。
ブオン氏は、ビンファストの自動車事業について「当初5年間は赤字になると想定していた」と述べ、18年に最初のガソリン車を売り出してからの赤字は想定の範囲だとの認識を表明。今年以降は、EV用充電設備設置など(EV普及に向けた)インフラ整備に多額の投資が必要になると説明し、赤字は当面続くとの見通しを示した。現在、国内には4万基の充電設備を設置したと前置きし、年内に15万基まで増やす計画を明らかにした。
年内にガソリン車から撤退する方針を打ち出したことについては、一部に既存の顧客をないがしろにしているのではないかとの見方もある。ブオン氏は「ベトナム発の世界的なブランドを作るにはEVしかなかった」と述べ、各国の大手が競合する現行のガソリン車でのシェア確保は困難だったことを率直に認め、EVで起死回生を目指す考えを強調した。
ガソリン車からの撤退を表明したことについては「この決定によって、顧客が損害を被ることがあってはならない」と述べ、車両整備や部品交換などのサービスは従来通り維持し、中古車としての価格維持に努める方針を表明した。ガソリン車に対する保証期間を10年間に延長したことも、そうした配慮からの決断だったと述べた。
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