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電動車普及支援へ減税案可決 一般乗用は3%に、3月施行

ベトナムの臨時国会は11日、電気自動車(EV)に対する特別消費税率を現行税率から最大12%引き下げる特別消費税法改正案を賛成多数で可決した。世界的に加速するEV化の流れに追随することで関連産業への投資を呼び込む狙いだが、EVシフトで既存メーカーとの逆転を狙う国産車メーカー、ビンファストに対する経営支援の色合いも濃い。電気モーターとガソリンエンジンを併用するハイブリッド車(HV)を軸に置くトヨタ自動車など日系メーカーも新たな対応を迫られる可能性がある。

ビンファストが米ラスベガスの家電IT見本市CESでお披露目した電気自動車(同社提供)

ビンファストが米ラスベガスの家電IT見本市CESでお披露目した電気自動車(同社提供)

政府公式メディアによると、可決された改正特別消費税法は2022年3月1日に施行される。9人乗り以下のEVの税率(現行税率は車両本体価格の15%)は、22年3月1~27年2月28日の当初5年間は3%、27年3月1日以降は11%に軽減される。乗客や貨物用のバス・トラックの税率(現行税率10%)は、当初5年間が2%に、それ以降は7%になる。

政府系放送局VOV(ボイス・オブ・ベトナム)によると、国会常任委員会は今回の改正法について、地球温暖化に歯止めを掛け、自動車産業の世界的な潮流に加わるための税制優遇になると説明。EV産業では、ベトナムと他の東南アジア諸国がほぼ同じスタート地点にあり、他の地域・国に先行して投資家を引き付ける優遇策を打ち出すことで、国内の関連産業を育成する大きなきっかけになると理解を求めた。

また「ベトナムには現在、EV生産に向けた投資計画を準備している企業がある」と付け加え、北中部ハティン省ブンアン経済区でEVの一貫生産工場を計画するビンファストの動きと、今回の法律改正が連動していることを示唆した。

ビンファストは国内初のEVの販売を21年12月から始めており、今月には米ラスベガスで開かれた家電IT見本市で22年中にガソリンを燃料とする内燃エンジン車の生産から撤退し、EV専用メーカーになる方針を示した。昨年以降、政府に対してEVの普及支援策を導入するよう働き掛けを強めていた経緯があり、昨年12月にブンアン経済区で開いたEV用バッテリー工場の着工式典には、国政ナンバー2のグエン・スアン・フック国家主席(前首相)ら複数の政府幹部が出席していた。

■5年後以降も優遇維持

EVの普及を支援する改正特別消費税法の原案は、ベトナム運輸省が中心にまとめたが、国会では大幅な修正が加えられたもようだ。同省科学技術局のチャン・クアン・ハー次長は昨年12月21日に開かれたシンポジウムで、EVの登録料と特別消費税を軽減する措置については「3年程度を期限とする」方針を示していた。

ただ、ベトナムではEV用充電施設が現状で全国約200カ所に整備されている程度で、「本格的な普及には10年以上の時間が必要」(日系メーカー)との見方が一般的だ。国会が改正法で当初5年間の減税幅を大幅に広げる一方、5年後以降も現行税率を下回る税率に設定したのは、長期的な支援が必要と訴えるビンファストなどの意向と足並みをそろえた対応とみられる。

日系を含む主要自動車メーカーが加盟するベトナム自動車工業会(VAMA)は21年に、EVの車両登録料を100%免除する一方、HVは50%減額、プラグインハイブリッド車(PHV)は70%減額とし、低燃費の内燃エンジン車も支援の対象とするよう求めていたが、今回の改正では実現しなかった。

■日系メーカーは当面静観

今回の特別消費税率改正について、日系メーカーの関係者は「ビングループのロビー活動が実を結んだということだ」と述べ、不快感を隠さなかった。ビンファストが昨年から販売し始めたEVの最量販車種「VFe34」の価格は6億9,000万ドン(3万米ドル、約340万円)。今回の法改正を受けて3月以降の特別消費税率は従来の1億350万ドンから2,070万ドンと、日本円換算では40万円以上の減税となり、販売に与える影響は小さくない。

日本メーカーは当面、走行距離と低燃費などの性能を兼ね備えたHVなどの販売に力を入れつつ、自動車市場の規模拡大を目指す方針を変えない見通しだが、ベトナム政府が一丸となった普及支援策で消費者の需要が変化すれば、追加値下げなどの対応を迫られかねない。


関連国・地域: ベトナム
関連業種: 自動車・二輪車電機マクロ・統計・その他経済

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