【21年の10大ニュース】「感染防止」と「開国」に揺れる
タイでは今年4月から新型コロナウイルス感染症が拡大し、厳しい行動制限やロックダウン(都市封鎖)を実施した。8月には1日あたりの感染者数が2万4,000人近くに達してピークとなったが、ワクチン接種が軌道に乗ったことで、12月には5,000人前後に落ち着いている。
感染者の減少を受けてタイ政府は11月から外国人の入国規制を大幅に緩和したものの、新型コロナの影響で、国内総生産(GDP)の2割超を占める観光業は大きな打撃を受けた。コロナ前に最大で年間4,000万人だった外国人旅行者の数は、今年は20万人程度になる見通し。来年は600万人ほどに回復するとみられるが、南アフリカで報告された新変異株「オミクロン株」の影響もあり、国内の消費を含め、本格的な回復時期については依然として不透明感がある。
観光業や内需は厳しい状況が続く一方、世界需要の回復に伴って自動車をはじめとした輸出は好調。当面は外需を中心とした片翼飛行を続けながら、内需の回復を辛抱強く待つ局面となりそうだ。