• 印刷する

【アジアで会う】比嘉麻耶さん 日本食レストラン「梅亭」 第364回 新天地でも父母の味伝える(マレーシア)

ひが・まや 1989年生まれ、マレーシア・スランゴール州出身。沖縄出身の父とマレーシア華人の母を持つ3人きょうだいの長女。幼いころから両親が経営する日本食店で育ち、父が健康上の理由でマレーシアを離れたのを機に店を継いだ。今年4月にスランゴール州の店舗を畳み、9月末に首都クアラルンプールで新店舗を開業する。

(本人提供)

(本人提供)

麻耶さんの父、満(みつる)さんは沖縄出身。中学卒業とともに名古屋に移り、飲食店での料理人修行を始めた。数年間の修行期間を経て、当時勤めていた「竹葉亭」がクアラルンプールに支店を出すことになり、満さんは転勤という形でマレーシアに移り住むことになった。約40年前のことだ。竹葉亭クアラルンプール店は、マハティール首相(当時)も訪れる高級料理店として人気を博したという。

満さんはホールスタッフとして働いていたマレーシア華人のリー・スイランさんと結婚。麻耶さんら3人の子どもたちに恵まれ、マレーシアに根を張ることになった。

竹葉亭を辞めた満さんがスランゴール州プタリンジャヤの商業施設「アムコープモール」に日本食レストラン「梅亭」をオープンしたのは1997年。今は週末の骨董(こっとう)品フリーマーケットがにぎわいを呼ぶアムコープモールだが、当時はマクドナルドや映画館、華語ラジオ局などが入居する流行最先端の商業施設だった。まだ幼かった麻耶さんも、ラジオ局のスタジオに香港のスターがやって来て公開収録イベントをしたり、館内にあった有名中華料理店で毎週のように結婚式が開かれていたりしたことを覚えているという。

「父母ともに働いていたから、学校帰りはいつも店に立ち寄っていたんです」と話す麻耶さん。弟妹と共に、店の常連客にかわいがられて育った。卒業後は美容部員として化粧品販売の仕事に就いていたが、2013年に父が健康上の理由で故郷の沖縄に戻ったのを機に、母を支えるため梅亭を継ぐ決心をした。

父が去ったことで、「日本人料理人のいない日本食店として、軽んじられるのではないかと心配だった」というが、それは取り越し苦労だったようだ。父が長年かけて育てた弟子たちがレシピを受け継ぎ、常連客から「お父さんがいなくなっても味は変わらないね」と声を掛けられて胸をなで下ろしたという。それでも母のスイランさんは日々料理のチェックを欠かさず、麻耶さんも沖縄の父とテレビ電話で連絡を取りアドバイスを受けている。

■コロナ下で人とのつながり実感

コロナ下で迎えた21年は、比嘉家にとっても一大転機となった。24年間にわたって店を構えてきたアムコープモールを離れ、数年前にクアラルンプールで開業した商業施設「マイタウン」に移転することになったのだ。

きっかけは新興書店チェーン「ブックエクセス(BooKXcess)」からの誘いだった。マレーシアでは珍しいライフスタイル提案型書店として店舗網を広げるブックエクセスの1号店は、アムコープモールにある。同社の社長は梅亭の常連客で、モールの老朽化に伴い移転先を探しているという話を聞きつけて一緒にやらないかと提案されたという。

4月末にアムコープモールの店を閉め、6月に新店舗を開業する予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で6月初めにロックダウン(都市封鎖)が始まった。5カ月近く営業できない状態が続くも、旧店舗から付いてきてくれた従業員たちは理解を示し、常連客からはたびたび近況伺いのメッセージが届く。厳しい状況の中で、「人と人のつながりによって支えられてきたことを強く実感した」(麻耶さん)。

9月30日に開業する新店舗は、ブックエクセスの一角に入居する。アムコープモール時代よりも席数を増やし、ゆったりとくつろいでもらえる雰囲気に。メニューは以前と変わらず、「ボリュームがありながらもお手頃な沖縄スタイル」の定食を中心に提供する。

新店舗ではスイランさんと麻耶さんのほか、学校を卒業したばかりの妹も店に立つ。店のロゴ作成やインスタグラムへの投稿などには、デザインの仕事に就く弟が協力している。新天地に移っても「父と母のレシピを、きょうだいで守っていきたい」。(マレーシア版編集・降籏愛子)


関連国・地域: マレーシア
関連業種: 社会・事件

その他記事

すべての文頭を開く

テイクオフ:首都圏では先週から新型…(10/27)

雇用法の改正案が国会に提出 差別や強制労働禁止などに重点(10/27)

新規感染5726人、累計244.2万人(10/27)

【食とインバウンド】拡大する「サスティナブルツーリズム」(10/27)

サイムダービー、BMWの4Sセンター着工(10/27)

RM1=27.5円、$1=RM4.15(26日)(10/27)

ランカウイへの観光、全ての国から受け入れ(10/27)

シノバック製で12歳未満の第3相治験へ(10/27)

すべての文頭を開く

※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。

の記事は有料サービスご契約者様限定記事です。契約すると続きをお読みいただけます。契約されている方は、画面右側にある各種ログインからログインください。
無料トライアルはこちら
購読申し込みはこちら

NNAからのご案内

出版物

SNSアカウント

各種ログイン