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【アジアで会う】五十嵐聡さん 信金シンガポール社長 第361回 顧客の「幸福度」向上を後押し(シンガポール)

いがらし・さとし 1972年生まれ。神奈川県出身。97年に東京工業大学卒業後、信金中央金庫(信金中金)に入庫。市場運用部や総合企画部、海外業務推進部などを経て現職。シンガポール現地法人、信金シンガポールは7月中旬に開業した。現在は単身赴任。週末は土、日ともジョギングで汗を流す。北部マクリッチー貯水池がお気に入りのコースだ。

信金シンガポール社長の五十嵐さん(写真中央、本人提供)

信金シンガポール社長の五十嵐さん(写真中央、本人提供)

信金中央金庫の現地法人、信金シンガポールの開業に合わせて4月にシンガポールに赴任した。新型コロナウイルス禍の中での現法立ち上げとあって、開業準備にあたっては現地とのやりとりをほぼオンラインでこなし、「赴任前にシンガポールへ出張したのは1度だけでした」と五十嵐さんは話す。

信金中央金庫は海外9カ国・地域に駐在員を置いており、アジア地域では香港、中国・上海、タイ・バンコクに駐在員事務所があるが、同地域での現法設立はシンガポールが初となる。海外全体では英国に次いで2カ所目の現法だ。五十嵐さんは、2010~13年に英国現法、信金インターナショナルに赴任しており、信金中央金庫グループの海外現法2カ所の両方での勤務経験を持つことになる。

05~07年には、社内制度を利用してスペインにある世界有数のビジネススクール「IESE」に留学。経営学修士(MBA)を取得した。実質的には、今回のシンガポール赴任が会社関連で海外に赴任・滞在する3度目の機会だ。

シンガポール現法と英国現法では主要な業務内容が異なる。英国では既発債の発行・売買や、ユーロ市場での新発債の引き受け、売りさばきが中心だった。シンガポールでは、日本の取引先の海外展開のサポート、信金中央金庫の投融資機会の拡大、金融イノベーション(技術革新)に関する調査などが主業務だ。信用金庫業界の人材育成にも取り組む。五十嵐さんは「日本企業が持つ優れた技術・商品を、シンガポールを中心とした東南アジアでPRし、企業の域内展開を後押ししたい」と意気込む

日本経済はコロナ禍で打撃を受けているほか、中長期的には人口減で市場縮小が懸念される。日本市場だけを見ていては、優れた技術が埋もれてしまう。日本企業が成長する上で、アジア地域にビジネスを広げる必要があると感じていた。シンガポール現法は、現場で日本企業の販路拡大支援を実現できる場所だ。

東南アジア経済をみると、米国向け輸出が伸びているほか、製造業などで日本の大企業の事業展開に伴い裾野企業の進出が広がっている。飲食業や食品卸業などで日本企業の活躍も目立ち、地域統括会社を置く企業も多い。落ち込んでいる日本経済を活性化させる上でも、東南アジアの成長力を取り込むことは重要だと考えている。

■シンガポール現法でやりがい追及

日本では市場運用部や金融法人部、プロジェクト金融室などにも所属した経験を持ち、プロジェクトファイナンス(事業融資)などで数百億円規模の案件を取り扱った。インドネシアやオーストラリアなど海外案件も担当した。大きな金額を動かす仕事ではあるが、東京営業部時代に感じた「取引先企業の事業成長を支援し、ひいては顧客の『幸福度』向上、地域経済社会の活性化に貢献する」というやりがいを、シンガポール現法でさらに追及できると感じている。

新型コロナの収束状況を見計らいながら、将来的には取引先企業の販路拡大の支援に向けた展示会への参加や、現地のインフルエンサー(インターネットで影響力を持つ人)の協力を得た日本商品のPR、商談会開催も視野に入れている。日本酒の輸出支援に向けて、既にシンガポールのバイヤーにはコンタクトを取っている。

業界の人材育成では、信用金庫の職員とシンガポールで一緒に取引先企業のサポートに取り組み、日本での課題解決力の向上につなげたいと考えている。投融資機会の拡大については、日本の本店や現地の金融機関との連携を密にしながら、これまで培った経験やネットワークを生かせると意気込む。

コロナ禍で周辺国への出張がままならず、現状では域内の取引先企業と直接会うことは難しい。「東南アジアでワクチン接種が進み、『コロナとの共存』の中で早く顧客と直接話せる状況になることを願います」と語る五十嵐さん。過去の経験を存分に生かせるシンガポールで、新たな挑戦が始まる。(シンガポール&ASEAN版編集・清水美雪)


関連国・地域: シンガポール日本
関連業種: 社会・事件

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