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【アジアで会う】森田剛さん ゴーゴーカフェ経営者 第351回 路上販売、夢つかむ(フィリピン)

もりた・ごう 1986年生まれ、大阪府出身。大学卒業後、コンサルティング会社に4年間勤務。経営大学院で経営学修士(MBA)を取得した。28歳の時に中部セブ州に渡り、カツサンドの路上販売を始める。渡航から約10カ月後にカフェ「ゴーゴーカフェ」を開業した。

(本人提供)

(本人提供)

セブに開業してから約6年が経つカフェは、日本や地元のメディアに取り上げられるほどに大きくなった。ところが、新型コロナウイルスの感染拡大で営業が難しくなり、一時閉店を余儀なくされていた。

今年3月から約1年ぶりにテークアウトのみで営業を再開。コロナ前と比べると売り上げは大幅に落ち込んでいるが、持ち帰りのみでも何とか持ちこたえている。

新型コロナ禍前は、定期的にスタッフ一人一人とのミーティングを欠かさなかった。「最近の体調はどうか」「困りごとはないか」など、ざっくばらんに会話し、問題点を見つける。今は以前のようにはいかないが、経営手法に変わりはない。

■「望む将来は何か」

幼少期はサッカー選手になることを目指していた。大学では交換留学でサッカーの指導が進んでいるドイツに渡ったが、スティーブン・R・コヴィー氏の著書「7つの習慣」に出会った。「自分が本当に望む将来は何か」と考え、リスクを取ってでも挑戦する経営者になりたいと考えた。

大学卒業後は、経営について学べるようにと中小企業の経営を支援するコンサルティング会社に就職した。経営についての知識を深めるため、4年間務めた会社を辞め、経営大学院に入学。MBAのほか、在職中に勉強を始めた国家資格「中小企業診断士」の資格も取得した。

アジアに飛び出そうと決めたのは、東南アジアで会社を経営する人に出会ったことがきっかけ。実際に会社を訪れた際、「東南アジアには可能性がある」という話に引かれた。

経営大学院の講義でもアジアについて取り上げられることがあり、どんな事業をするかも決めていなかったが、「面白そうだ」と胸が躍った。 数カ国を見て回り、物価が安く、英語が広く通じやすいフィリピンへの渡航を決めた。

■カツサンド、15分で完売

ビジネスのヒントは街中にあった。下見で訪れたセブ市で、揚げ物をよく食べるフィリピン人。日本人の発想でトンカツが思い浮かび、調べてみるとマニラでは店に行列ができるほど人気だったが、セブのトンカツ専門店は当時1店舗だけだった。

セブに移住し、到着してから1週間後には外資企業や語学学校が入居する「セブITパーク」でカツサンドの路上販売を始めていた。自炊はほとんどせず、料理が得意とは言えなかったが、インターネットでレシピを調べた。

「100個作って完売するまでやる」。そう決心し、寝る間も惜しんでカツサンドを作り続けた。すぐに口コミが広がり、2カ月後には「路上でカツサンドを売る日本人」として、地元メディアに取り上げられた。人気はうなぎ上りになり、15分で完売するほどの「まぼろしの店」になった。

路上での商売が軌道に乗っていたころ、当時住んでいたコンドミニアムのフィリピン人オーナーから「一緒に事業をやらないか」と声を掛けられた。毎日オレンジ色の大きなクーラーボックスを持って出掛けていく姿を見て、「彼は何をしているのか」と気になっていたという。渡航してから約10カ月後、コンドミニアムの敷地内に、カツサンドを看板メニューとした「ゴーゴーカフェ」を開き、経営者になる夢をかなえた。

念願の店舗を持ったものの、スタッフの教育に苦労した。「お客さんが来ても笑顔で接客しない」、「眠そうにしている」と怒って注意すると、スタッフとの関係に亀裂が入り、退職者も出た。問題が発生したときの報告体制を整えてからは改善し、今ではフィリピン人スタッフ5人で毎日の業務が回るようになった。

■飲食業界で生きる

新たなビジネスに向かい、19年半ばからマニラに拠点を移した。20年1月に首都圏マカティ市で開業した「焼肉 A5徳」でマネージャーとして運営に携わっている。6月初めにはタギッグ市の新興開発区ボニファシオ・グローバル・シティー(BGC)に2店舗目も開き、店舗拡大の夢が広がる。カフェの2店舗目も考えている。

サッカーをやっている時から目標に向かっているときが最も楽しく、夢中になって取り組める。カツサンドの販売を始めた時のような情熱とアイデアを忘れずに、飲食店の経営力を磨いていきたい。(フィリピン版編集・金子汀)


関連国・地域: フィリピン日本
関連業種: サービス社会・事件

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