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【NNA景気指数】ベトナム 2021年第2四半期予測

NNA景気指数=NNA景気状況指数(NNA CI)とNNA景気動向指数(NNA DI)により構成される。
NNA CIは景気の量感(景気の山、谷等)を表し、NNA DIは景気の方向性を示す。
両指標ともNNAのベトナム経済に関する記事をセンチメント分析するとともに、マクロ指標と組み合わせて算出している。
NNA DIでは最新月を含めた過去3カ月におけるDIの平均値により、以降3カ月の景気の状態について判断している。判断基準は下記の表によっている。

NNA景気指数=NNA景気状況指数(NNA CI)とNNA景気動向指数(NNA DI)により構成される。 NNA CIは景気の量感(景気の山、谷等)を表し、NNA DIは景気の方向性を示す。 両指標ともNNAのベトナム経済に関する記事をセンチメント分析するとともに、マクロ指標と組み合わせて算出している。 NNA DIでは最新月を含めた過去3カ月におけるDIの平均値により、以降3カ月の景気の状態について判断している。判断基準は下記の表によっている。

■第3波も景気は回復軌道復帰へ

・マクロ指標の改善目立つ

・新車販売は年30万台視野

・失業者増で消費に懸念も

・半導体不足の影響に注意

<経済アナリストの目>

ベトナムは徹底した感染者の隔離政策などにより、世界でも最も新型コロナウイルス感染症の拡大抑制に成功している国のひとつであるが、2021年2~3月に第3波に見舞われ対応を余儀なくされた。20年12月から2カ月間は市中感染が報告されていなかったが、1月下旬、ベトナム北部で感染が確認されたことを皮切りに3月下旬までに900人以上の感染が報告された。政府は2月中旬のテト(旧正月)休暇明けまでの期間について隔離措置を実施、これが功を奏して3月下旬以降は新規の市中感染は報告されていない。

こうした第3波の到来は、景気の状況に直接的な影響を及ぼした。景気の状況を指標化するNNA CIは、21年1月まで9カ月連続で上昇し114.0をつけた。これは新型コロナの感染拡大が始まる20年2月のピーク104.9を大きく上回る水準で、コロナショックからの回復が順調に進んでいたことがうかがえる。

第3波の到来とともに全指標が悪化に転じ、CI指標は大きく下落した。その後、3月は隔離の緩和に伴い小売以外の経済指標が改善したため、CI指標は戻している。記事センチメント指標は、コロナ感染関連とその経済的波及の記事が影響して、2~3月に悪化している。

景気の方向感を表すNNA DIは、1~3月の3カ月平均で61.1%をつけた。この数値は、製造業生産、輸出入、小売販売、株価、記事センチメントのそれぞれの月次指標のうち、3カ月平均の指標が3カ月前と比較して改善していることを意味する。

21年第2四半期のNNA DIは「薄日」(景気はやや良い)のレンジの下限近くにある。すべての指標が改善を示していた前期に比較すると、改善する指標の割合は低下し景気の先行きに影が差した形になっているが、このまま感染が再拡大しなければ、来期は景気が回復軌道に復帰する可能性が高い。

統計総局は、第1四半期の国内総生産(GDP)成長率は前年同期比4.48%、消費者物価上昇率は前年同期比0.29%、失業率は2.42%と発表している。21年通年のGDP成長率の政府目標は6.5%だが、目標では第1四半期を5.12%としており、実績値は若干下回っている。国際通貨基金(IMF)はベトナム政府との年次レビューで、21年のGDP成長率は政府目標と同じ6.5%と推定している。経済見通しの下押しリスクが残る中で、IMFが持続的かつ包括的で環境に配慮した成長に向けた施策が必要と提言したとNNAの記事は伝えている。

日本格付研究所 チーフアナリスト 増田 篤

<ベトナム編集部の目>

タイやフィリピン、インドネシアが新型コロナウイルス感染症の拡大に再び直面する中、ベトナムは3月下旬から市中感染を出しておらず、累計でも3,000人に満たない状況を維持している。ワクチン接種も4月下旬には10万人を突破し、一部の国とは条件付きでの国際的な往来再開を検討し始めている。

コロナ対策が奏功していることが、ベトナム経済の好循環につながっているようだ。1~3月のマクロ経済指標は、外国人旅行者を除き、軒並み前年比でプラスを記録した。国内総生産(GDP)は4.5%増だったほか、輸出は22%増、鉱工業生産指数(IIP)は6%上昇した。産業だけでなく、小売売上高も5%のプラスを確保するなど、観光需要や旅行者による消費が見込めない中、国内消費は新型コロナの影響をほぼ免れているといえる。

新車の販売台数も前年の販売が少なかったこともあり、2021年第1四半期は36%増の7万台を記録。第2四半期以降にさらに回復基調が強まれば、コロナ前の年間30万台も見えてくる。海外直接投資(FDI)の流入は、件数は大幅に減っているものの、金額ベースでは18%増と、こちらもプラスを記録し、コロナからの回復を印象付けた。4月以降も国内で市中感染が拡大する可能性はあるものの、政府や国民の間では対処のノウハウに自信が強まっており、経済的にも大きなショックにつながるとは考えにくい。

ベトナムは厳しい入国制限を設けることで、コロナを抑え込んできた。市中感染がほぼ出ていない現在でも入国者に対する14日間の厳しい隔離は継続している。経済回復のために緩和に踏み出すのか、厳格な措置を継続するのか、今後の争点となっていきそうだ。

経済の懸念点は、失業率の高さや収入減による消費への影響だ。1~3月の失業者数は全国で54万人、収入が減った人は900万人を超えたとされ、一部の消費財メーカーからは、消費行動にややマイナスの影響が出ているとの声も聞かれる。政府は企業や個人向けローンの返済期間延長や金利の引き下げ、中小企業向けの法人減税などの支援策を打ち出している。

ただ、財源に限りがあることで世帯向けの支援や補助は難しいと予想され、失業率の推移次第では、経済全体の足を引っ張りかねない。雇用や所得の回復に向けて政府がどのような手を打っていくか、第2四半期以降のベトナム経済を占う上で、一つのポイントとなる。

また、世界的な半導体不足が輸出の柱であるスマートフォン輸出にどのような影響を及ぼしていくのか。特にサムスン電子の動向が、ベトナム経済の鍵を握ることになる。

NNAベトナム前編集長 小堀栄之

<本資料について>

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関連国・地域: ベトナム
関連業種: 自動車・二輪車電機食品・飲料マクロ・統計・その他経済

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