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【アジアで会う】春日井萌さん 日本就職カフェ「KOREC」代表 第340回 夢は「政治動かす日韓の懸け橋」(韓国)

かすがい・もえ 1991年生まれ。千葉県出身。高校時代に米国に留学し、そこで韓国人の友人ができたことがきっかけで韓国に興味を持つ。高校卒業後、韓国の名門・延世大学に入学。卒業後は一度帰国して日本で就職するも、韓国と関わる仕事がしたいと再訪韓し、現地の日本人・企業向け不動産会社に勤務する。その傍ら、韓国人の日本就職サポートに着手。2019年にBwellの韓国法人代表になり、日本就職をサポートするコミュニティー「KOREC」を立ち上げた。

韓国ソウルの代表的な繁華街・新村。延世大学と梨花女子大学、西江大学という名門校に隣接する新村は、ソウル一の学生街でもある。平日や週末を問わず学生でにぎわう同地の一角に、韓国人の日本就職をサポートする「KOREC」がある。

■友人の「絶交宣言」がきっかけに

KORECの代表を務める春日井萌さんは、20代ながら実にグローバルな経験を持つ。高校時代に米国に留学。大学は韓国で通い、日本で就職するとすぐベトナムに出向。再び韓国に戻り、現在の「日本就職コミュニティー」を立ち上げることとなった。

「韓国に興味を持ったきっかけは、友達の『絶交宣言』だったんです」と語る春日井さん。どういうことか聞くと、次のようなエピソードを話してくれた。

高校生で米国に1年留学した春日井さんが現地で仲良くなったのが、同じく米国留学中の韓国人だった。しかし、ある時事件は起きた。野球の世界大会「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」の決勝戦で日本が韓国に勝利してしまったのだ。

韓国ではスポーツで日本に負けることは、あってはならないこと。そのために、春日井さんは「あなたとはもう友達だとは思わない」と告げられてしまったという。「本当に絶交してしまったのか」と聞くと、春日井さんは「6カ月くらいは音信不通でしたね」と笑いながら答えた。

こんな経験をすれば、韓国のことを嫌いになる人もいるかもしれないが、春日井さんはむしろ「なぜそのように思うのだろう」と逆に韓国に興味が沸いたと、当時を振り返る。

■念願の「就活サポート会社」設立へ

そのように韓国に引かれた春日井さんは高校卒業後の11年、延世大学アンダーウッド国際学部政治外交学科へ進学。「日韓関係の改善に貢献したい」という気持ちから、外務省へ就職を目指す。結果的に外務省への入省は叶わなかったが、日本のとあるIT企業への就職し、入社直後にベトナムへ出向した。

「1年ほどベトナムのハノイで駐在員として働いていましたが、その間も『日韓関係に関われる仕事がしたい』と思っていました」。その思いが高じた春日井さんは、韓国行きを決意する。

17年に再訪韓して日系企業向けにオフィスなどを紹介する不動産業者で働いたその翌年には、個人として韓国人の日本就職をサポートする事業を立ち上げた。さらに19年5月、大阪で大学新卒採用やマーケティングなどを手掛けるBwellの協力の下、新村に「KOREC」を設立する。春日井さんはBwellの韓国法人代表として、本格的な日本就職サポートを開始した。

KORECは「学生と企業の交流を助ける日本の『知るカフェ』からヒントを得た」という。そのため、学生たちが自由に情報交換したり、勉強したりできるような空間にした。

しかし、念願のKOREC立ち上げから2カ月後に、日本政府による韓国向け輸出管理の厳格化に端を発する日韓関係の悪化という逆風にあう。それでも、「KORECに来てくれる韓国人学生の数には大きな変化はなかった」そうだ。

■韓国人学生は「努力がすごい」

過去に300人以上の韓国人学生を日本に送り出してきた経験を持つ春日井さんは、「頑張る姿勢」が韓国人学生の強みと強調する。 とりわけ印象に残っている学生がいるという。それは、KOREC立ち上げ前にサポートした女子学生だった。

「彼女は日本語ができませんでしたが、わずか6カ月でJPT(日本語能力試験)の最上級であるN1に合格するほど努力しました。スピーキングに不安があった彼女は、文系ながらITやエンジニアなどの企業の面接にも積極的に臨んだんです。面接を『スピーキングの練習』に活用したんですね。その結果、大手を含む数社から内定をもらえました。最終的に彼女が選んだのは福岡のベンチャー企業で、今も日本で楽しそうに働いています」

■日韓政治を動かす存在に

そのような春日井さんは、「厳しい就職難という韓国の問題解決に貢献できていることが最もうれしい」と言う。「韓国人は中高生の頃から受験戦争で他人と比較される生活をしてきた人が多いんです。日本で就職し、日本で暮らすことで自分自身を見つめなおす機会になったという学生もいます。そうした中で日韓交流が進み、関係改善につながれば幸いです」と、春日井さんは話す。

将来的には「日韓の政治を動かしたい」と意気込む。その目標の第一歩として、「青瓦台(大統領府)に招待されるほど影響力を持つことが目標です」と春日井さん。文字通り「日韓の懸け橋」が、彼女の夢だ。


関連国・地域: 韓国
関連業種: 社会・事件

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