広州では春節(旧正月)を過ぎると文字通り春の訪れを感じる。亜熱帯のため日本ほど明確な四季はないが、肌寒さが和らいだと思ったら汗ばむような陽気になり、色とりどりの花が一斉に咲き始める。
珠江に浮かぶ中州の一つ、大吉沙島では今、畑一面を黄色く染め上げた菜の花が見頃を迎えている。島のあちこちにはバナナやスターフルーツ、グアバといった南国の果物が自生し、民家の広い庭では放し飼いのアヒルとニワトリが走り回る。同じ広州市内とは思えない、のどかな農村風景だ。
島と外部をつなぐ交通手段は船だけ。オートバイに跨がった地元の人たちと川を渡る10分足らずの「クルーズ」だ。近い将来、島内に地下鉄を通す計画があるそうで、完成すれば島の景色は一変するに違いない。便利さを否定することはできないが、その頃にもまだ菜の花は見られるだろうか。(羊)
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