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政情不安、外資に影響広がる 関連銘柄の株価下落も

ミャンマーの政情不安が、同国と取引のある海外の企業や、現地に進出する外資系企業の事業活動に影響を与え始めた。全国で発生する反国軍デモを背景に、政府機関の業務が滞り、貿易や物流に支障が出てきている。また、海外の証券市場ではミャンマーで事業を展開する企業の株価が、クーデターを機に低迷している。

シンガポール系飲食店「ブレッドトーク」の店舗。デモが続くヤンゴンでは営業していない小売店も多い=13日(NNA)

シンガポール系飲食店「ブレッドトーク」の店舗。デモが続くヤンゴンでは営業していない小売店も多い=13日(NNA)

最大都市ヤンゴンでは、「市民不服従運動(CDM)」と呼ばれる業務のボイコットが広がっている。公務員の参加により、港湾の船舶代理業務を行う船舶代理局(SAD)が一部で機能不全に陥っている。日系企業を中心に100社余りが進出するティラワ経済特区(SEZ)に隣接するティラワ港でも、SADの業務が止まり、輸出入が停滞しているとの情報もある。

国境貿易にも影響が出ている。在タイ物流企業の関係者によれば、ヤンゴン市内の混乱で「顧客の越境輸送のニーズがなくなっている」。タイとの国境貿易の主要拠点である東部カイン(旧カレン)州ミャワディでもCDMが盛り上がっており、「現地の情報も十分に取れない」ほど事態が深刻化している。

政情不安を理由に、ミャンマー事業を中断した企業もある。シンガポール系石油取引大手ピューマ・エナジーは10日、「従業員や関係者の安全・安心のため」、ミャンマー事業を中断した。

ミャンマー・タイムズ(電子版)によれば、ピューマは国内唯一の航空用燃料の流通業者。国軍は、航空便の運航を継続させるため、同社に事業の再開を迫っているとの情報も流れている。

国際社会の圧力も、外資の動向に影響を及ぼし始めた。ミャンマーのたばこメーカー大手、バージニア・タバコに間接出資するシンガポールの投資家リム・カーリン氏は、出資の引き揚げを決めた。リム氏が株式を持つRMHシンガポールと国軍系複合企業ミャンマー・エコノミック・ホールディングス(MEHL)は、バージニア・タバコを共同運営している。イスラム教徒少数民族ロヒンギャを迫害したとされる国軍傘下のMEHLと合弁を組んでいることで、RMHシンガポールは国際社会の批判を受けてきた。

MEHLをパートナーとしてきたキリンホールディングス(HD)も、5日に合弁事業での提携を解消すると発表した。キリンHDはMEHLとともに、現地ビール最大手ミャンマー・ブルワリー(MBL)など2社を経営してきたが、国軍によるクーデターを「(当社の)ビジネス規範や人権方針に根底から反する」と指摘し、合弁解消を決めた。

国軍と関係がある企業に対しては、市民の不買運動も広がっている。ベトナム軍隊通信グループ(ベトテル)と国軍系のスター・ハイなどによる合弁会社の携帯電話サービス「マイテル(Mytel)」は、不買運動の標的になっており、ヤンゴン市内では、閉鎖している店舗が目立つ。

■ヨマ株、3割余り下落

海外の証券市場では、ミャンマー関連銘柄が売られている。シンガポール取引所(SGX)に上場する、ミャンマーの持ち株会社ヨマ・ストラテジック・ホールディングスの株価は、クーデター前と比較して17日までに3割余り下落した。同社は、傘下のYKKOを通じて飲食店を展開するほか、不動産開発や金融など幅広い事業を手掛けている。

英ロンドン証券取引所(LSE)の新興企業向け市場AIMに上場する投資会社ミャンマー・インベストメンツ・インターナショナル(MIL)の株価も、16日までにクーデター前より1割余り下落した。同社は携帯電話の通信塔事業を手掛けるAPタワーズと、マイクロファイナンス(小口金融)機関のミャンマー・ファイナンス・インターナショナル(MFIL)に出資している。

北東部シャン州のボードウィン鉱山で権益を持つミャンマー・メタルズ(旧社名トップエンド・ミネラルズ)は、オーストラリア証券取引所(ASX)に上場する同社株の売買を、クーデター直後から停止。17日には「ミャンマーの不透明な情勢は続いている」として、売買停止の延長をASXに求めた。

外資のミャンマー事業への逆風は、さらに強まる恐れがある。米国政府が11日に発動した経済制裁は、対象が限定されており、経済への影響は最小限に抑えられるとの見方が強い。ただ、制裁が次の段階に進み、米財務省外国資産管理室(OFAC)の制裁対象(SDN)リストが拡大されれば、影響は大きくなる。SDNリストに載った個人や団体は、資産凍結に加え、金融機関を含む米国企業との取引が禁止され、リスト対象の関連会社も一定の条件で制裁が科されるからだ。取引先が制裁対象であれば、米ドルの送金時に米銀を経由するような場合に、資金が凍結される恐れがある。


関連国・地域: ミャンマーシンガポールオーストラリア日本欧州
関連業種: 食品・飲料運輸サービスマクロ・統計・その他経済政治

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