シンガポールのセキュリティートークン取引所「iSTOX」は、日本の産業革新投資機構(JIC)傘下のベンチャーキャピタルや日本政策投資銀行などから総額5,000万米ドル(約51億8,200万円)を調達することで合意した。資金は事業拡大に振り向ける。
iSTOXが公表した声明によると、シリーズA(事業開発段階)の資金調達で、JICベンチャー・グロース・インベストメンツ、日本政策投資銀行のほか、十六銀行、日系ベンチャーキャピタルのモバイル・インターネット・キャピタルなどから新たに出資を受けた。
既存の出資者である東海東京フィナンシャル・ホールディングス、韓国の大手資産運用会社ハンファ・アセット・マネジメント(ハンファ資産運用)からも新たに調達した。
調達した資金は、iSTOXで公開されるセキュリティートークンの種類や規模の拡充、シンガポール国外市場への進出に振り向ける。iSTOXは中国・重慶市で同様のサービスを提供することで、同市政府と合意済みだ。
iSTOXを運営するICHXテックは2017年創業。当初は、現行の規制では不可能な新技術やサービスを試験的に運用できるようにする「サンドボックス」制度下で、試験的に事業を展開していた。20年2月に資本市場サービス提供者としての免許を正式に取得した。
セキュリティートークンとは、有価証券の所有権をトークン化した暗号資産のこと。仮想通貨などの暗号資産はこれまで、各国の金融規制の外側で行われることが多かったが、セキュリティートークンは金融関連法で規制されるのも特徴だ。
従来の株式公開などと比べ、セキュリティートークンの公開によって資金を調達するセキュリティートークンオファリング(STO)は、より小規模な資金調達を低コストで行える手段として注目されている。
<用語解説>
トークン
「権利の所有を示す印・情報」のデータを指す概念。理論上改ざんが不可能な分散型台帳上で発行される。通貨、証券、不動産などさまざまな資産にひも付いたトークンを発行することを、資産の「トークン化」と表現する。
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