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【20年の10大ニュース】禍に耐えた1年

今年初め、昨年末からの未曽有の森林火災が収束し始めた矢先に、今度は世界中を混乱に陥れる新型コロナウイルスが襲うとは、誰が想像しただろうか。コロナで社会や経済は大混乱に陥り、全国民が悲痛な叫びを上げた。
コロナ対策では、オーストラリアは感染者や死者の増加を極力抑えるのに成功し、世界的に見れば有数の優等生と言える。だがそれでも、航空・観光業界を中心に経済は大打撃を受け、第2位の航空会社さえ破綻した。失業率も7%に悪化し、財政赤字も過去最大だ。さらに、関係が悪化していた中国による経済報復には業を煮やした。大規模インフラプロジェクトがけん引していくプラス材料はあるものの、疲弊した経済の立て直しには来年もてこずりそうだ。
またニュージーランド(NZ)も、コロナ対策では世界から羨望(せんぼう)のまなざしさえ集めたが、経済は9年ぶりの景気低迷にあえいでいる。政治面では、国民的人気を誇るアーダン首相率いる労働党が総選挙で圧勝したものの、来年の経済は厳格なコロナ対策の反動に苦しむとの見方もある。移民の厳格化などにより人手不足が深刻化し、高止まりする不動産価格で国民の不満が顕在化する懸念もある。
いずれにしても、今年は両国共に耐えに耐えた1年だった。来年もまたコロナで不安を抱えての始まりとなりそうだ。