菅義偉首相が10月に初の外遊先としてベトナムとインドネシアを訪問したのは、アジアのニュースを扱う者として身が引き締まる。日本の新聞や通信社で政治記者が1年目に経験するのが「総理番」。NNAで働く前、一度だけ経験したことがある。
首相の出勤から国会、夜の懇談先の料亭までついて回り、誰と会い何を語ったか報じる。移動の際は、首相が乗るセンチュリーを囲むように計4台の黒い高級車が路上を行ったり来たり。狙撃を警戒しているのだろう。警察官が車窓から半身を出し、周囲の車を棒で制止しながら猛スピードで走り抜ける。テレビ画面では見えない、権力のすごみを身近に感じる体験だった。
コロナ禍により国・地域の指導者が感染対策で判断を誤れば悲惨な状況を招くことが明らかになっている。感染拡大で「第3波」到来といわれる日本。指導者が有効に権力を使ってほしいと切に思う。(共)
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