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【アジアで会う】永見亜弓さん JAC営業マーケティングマネジャー 第328回 最も有名な日本人営業に(シンガポール)

ながみ・あゆみ 1978年生まれ、広島県出身のクリスチャン。20代で末期がんを経験後、結婚を機にシンガポールへ移住。人材大手ジェイエイシーリクルートメント(JAC)のシンガポール法人に勤めて14年目となる。コンサルタント職を経て、現在は同社唯一の営業・マーケティングマネジャーとして、シンガポールで最も有名な日本人営業になるべく奔走している。趣味は写真。休日は巨大な望遠レンズ付きの一眼レフを携えて撮影に出掛ける。

パワフルで明るい永見さんの笑顔は、マスク越しでもまぶしい。用意してきた質問をぶつけると、テンポよく次々と答えてくれる。仕事ができそうな人だという印象を裏切ることなく、売り上げノルマの達成率は100%どころか、196%という驚異的な実績を持つ。

就職氷河期に地元広島の大学を卒業。契約社員として働いたり、専門学校に通ったりしつつ、学生時代に「ここに住みたい!」と感じたシンガポールでも就職活動を続けたが、正規の仕事はなかなか決まらなかった。そんな永見さんを襲ったのは「がん」だ。25歳の時だった。

病院で診断を受けた時は既に末期。余命半年を宣告された。5年後に生存している確率は2割。「なぜ私なんだろう」という言葉が消えては浮かぶ。当時付き合っていた恋人とは疎遠になった。

しかし、前向きでいることを諦めなかった。「がんになったのが家族や友人でなくてよかった」「神様は乗り越えられる試練しか与えない」「絶対に治る」。こうした言葉を口に出し、毎日祈り、治療に臨んだ。それ以来、「今できることを精いっぱいやって、精いっぱい生きる」を信条にしている。

幸いがんは、手術や化学治療を経て翌年には奇跡的に寛解した。半年後には、闘病後に出会ったシンガポール人の男性と結婚。オーストラリアで2年間の新婚生活を送り、2007年に念願のシンガポールへ移住した。

ここから本格的に人材サービス業でのキャリアがスタートする。JACで人材コンサルタントとして働き、5年目には社内で売り上げ成績1位を獲得。翌年には日本人部門長に抜てきされ、20人弱の部下を持つ身となった。管理職が一般社員の仕事を兼務するプレイングマネジャーとして、自身のコンサルタント業も継続した。

18年に現職に就き、会社全体の営業を一人で任されることになった。新規事業の立ち上げから、日系・現地・外資を問わずの営業まで、コンサルタントの手が回らない部分を一手に引き受けている。当時の社長からは「シンガポールで一番有名な日本人営業になれ!」と激励を受けた。

仕事面では顧客とのリレーション(関係性)作りに力を入れている。相手が真に求めているものは何かを正確に理解するよう努め、「また会いたい」と思ってもらえるようにする。真摯(しんし)な口調からは、仕事を心の底から楽しんでいることが伝わってくる。

現在の目標は後進の育成だ。同時に、一番有名な日本人営業になるため、日々新しい人と出会うことも欠かせない。新しいテクノロジーなど、知らないことも貪欲に学んでいきたい。そう語る永見さんの目はきらきらと輝いている。

■闘病2回、「生かされている」

過去に末期がんを経験しているとは想像もできないパワフルさだが、20年にまたもがんが発覚した。比較的生存率の高い乳がんだったが、数カ月は日本に帰国し治療することになった。

折しも新型コロナウイルスの流行下。シンガポールで働く人のほとんどが在宅勤務していた時期だ。ここでもハードワーカーぶりは健在で、日本から遠隔で業務をこなした。現在も服薬は必要だが、治療は無事終了。次々と試練を乗り越えていく姿を見て、友人たちは「どれだけ困難を克服するんだ」と思わず笑っていたという。

「生かされていると感じます」と話す永見さん。世の中のためにまだ何かできるかも、という気持ちが常にあり、それが生きる原動力となっている。

やるべきことをやって生き抜く。その結果死んでも大丈夫――。若い時に生死の境をさまよったことのある人だからこそだろうか、永見さんの言葉は力強い。これからも笑顔いっぱい、ポジティブな姿勢で前に進んでいく。(シンガポール&ASEAN版編集・鈴木あかね)

※インタビュー中は常時マスクを着用し、写真撮影時のみ外しました。


関連国・地域: シンガポール
関連業種: 社会・事件

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