オーストラリアのM&A(合併・買収)市場が自信を取り戻し始める中、株価の変動が激しいことから来年はこれまで以上に買収決定までのスピードが重視されることになる――。法律事務所コーズ・チェンバーズ・ウエストガースが報告書「M&A 2021 Outlook」の中で指摘している。オーストラリアン・ファイナンシャル・レビュー(AFR)が伝えた。
国内の企業買収は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で今年2~5月には大きく落ち込んだが、6~9月には2019年10月~20年1月の水準を上回る規模に回復している。
同法律事務所の法人部門の責任者であるサンディー・マック氏は、オーストラリアの株式市場の株価の変動が早いため、M&Aについても非常に早く動く準備をしなければならないと主張。企業買収の戦略の一つとして、買収対象企業の価値について合意を固めた後に公表することにより、買収に向けた協議が進む中で買収対象の企業の株価が高騰することを防ぐべきだとしている。
2021年に留意すべきもう一つの要素は、買収対象の企業の主要株主と関わりを持つこと。これについてコーズは、地方放送局プライム・メディアの買収を目指していた民放セブン・ウエスト・メディアが主要株主の反対に遭って買収を実現できなかった事例などを挙げている。
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