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次期選挙は不出馬、引退へ マハティール氏、大いに語る

マレーシアのマハティール前首相(95)は24日、行政都市プトラジャヤで共同通信とNNAの共同インタビューに応じ、次期総選挙には出馬せず、早期に下院議員を引退する意向を明らかにした。また今年2月に首相を辞任した経緯や、現政権を信頼しない理由、1963年のマレーシア連邦成立直後から政治家を続ける自身が残した功績などを大いに語った。

マハティール氏は、2月の首相降板への未練をちらつかせつつ、議員を早期引退する意向を示した=24日、プトラジャヤ(NNA撮影)

マハティール氏は、2月の首相降板への未練をちらつかせつつ、議員を早期引退する意向を示した=24日、プトラジャヤ(NNA撮影)

――野党・人民正義党(PKR)のアンワル・イブラヒム党首が、連邦議会下院(定数222)の過半数から支持を得たと発表した。

アンワル氏は下院で得たという支持について証明する必要がある。与党連合の一角、統一マレー国民組織(UMNO)のアフマド・ザヒド・ハミディ総裁が、所属議員の「多く」がアンワル支持に回ったと明らかにしたが、具体的な人数は分からない。現段階で言えることは、ムヒディン政権の支持基盤は非常に弱いということだ。UMNOから2人が寝返っただけで過半数割れしてしまう。

――アンワル氏が新政権を発足させれば支持するか。

私が率いていたマレーシア統一プリブミ党(PPBM)は小さな政党で、ムヒディン政権打倒に向け手を組もうと、アンワル氏に何度も持ち掛けてきたが全て断られた。支持するかどうかは慎重に検討する。

希望連盟(PH)が2018年に政権交代に成功した際、私が最初の一定期間に首相を務め、その後、アンワル氏に禅譲する約束だった。しかし、アンワル氏が首相になるには、下院で過半数の支持を得る必要があった。PH政権の議席は絶対多数ではなく、自分たちだけで決められることではなかった。

■現政権は18年以前に逆戻り

――ムヒディン政権の議会での過半数割れが確認されれば、何が起こるのか。

解散総選挙か、下院で新たな首相が選出され政権が交代するかだ。

――総選挙がすぐ行われる場合、出馬するか。

大変長く議員を続けてきた。いま総選挙になれば(18年からは)短期間で終わるが、選挙までは議員であり続ける。できるだけ早く引退したいと考えているので、次期総選挙には出馬しない。

――首相に返り咲く意思はないのか。

私には多くの経験があり、マレーシア政府はそれを利用できる。自分が首相になる必要はない。政権は可能な限り、私が裏方として何らかの役割を果たすことを許すべきだろう。

――なぜムヒディン政権を信頼しないのか。

今年3月に国民同盟(PN)政権が誕生してからコメントを控えてきたのは、彼らの仕事ぶりを見るためだ。しかし、残念ながら、支持を金で買う汚職にまみれた(18年まで与党だった)国民戦線(BN)政権時代に逆戻りしている。金で支持を取り付けても、下院で過半数超えぎりぎりの状況にある。与党に加わっている議員は、政治的信条からではなく、仕事を得るのが目的だ。

――18年に誕生したPH政権が短命に終わったことを、投票した国民にどう説明するか。

PPBMが私の助言を拒否したため、2月に首相辞任を決めた。PPBMはPHを離脱し、政府は崩壊した。

だがPH政権が失敗したと言うのは間違っている。巨額の債務など非常に大きな問題の解決に取り組んだ。PHは5つの政党の寄り合い所帯で、多くの国ではこのような政権は誕生すらしなかっただろうが、われわれは成し遂げた。そして政権移行はスムーズだった。

問題は、PH政権が下院で十分な支持を得ていなかったことだ。公約に掲げていた首相の任期改正や死刑廃止、マレー半島と東マレーシア(サバ、サラワク両州)から成るマレーシアという国の再定義を含む改革には、憲法改正が必要になる。憲法改正には下院で3分の2以上の支持が必要で、PHが公約を果たせなかったのはそれがなかったためだ。

そうした中でも行政改革は達成できた。私以外は全く(政権運営の)経験のないメンバーによる新しい政府で、容易なことではなかった。

■日本は研究施設を強化すべき

――米中貿易摩擦をどう見るか。

トランプ米大統領が引き起こした問題だ。米国と中国は貿易パートナーで、中国が安価な製品の輸出で利益を得ているのは確かだが、米国が「再び偉大になる」ため他国を蹴落とすのは間違っている。米国の姿勢に問題があるが、これまでの大統領もそうだったわけではなく、今の大統領が異常なだけだ。

歴史や人口を比べても、米国が中国を屈服させるのは難しいだろう。米国はこれまで常に世界一だった。日本でさえ米国を超えられなかったが、今は中国にその座を脅かされている。米中摩擦は2国間だけの問題ではない。米国の独善的な通商政策には、欧州も不満を持っている。

今年の米大統領選でトランプ氏が勝てば、状況は悪化するだろう。しかし、新型コロナウイルス感染症対策など内政にも問題があるので、米国民はトランプ氏を選ばないと信じている。

――日本の経済的存在感は低下している。今後どう進むべきか。

日本はかつて世界第2の経済大国だったが、現在は欧州や米国だけでなく、中国や韓国など他の国とも競争しなければならなくなった。ビジネスのやり方を変え、低コスト化を進める必要がある。

日本は研究施設をもっと強化すべきだ。ソニーはかつて最先端を行っていたが、現在は韓国のサムスン電子と競争し、追い抜かれている。新しい競争から学び、アプローチや方策を変えなければならない。1961年に初めて日本を訪れた際、日本の技術は世界的に優れていたが、今は一部で中国が先を行っている。

――国民車構想を今後、どう展開しようと考えていたか。

第3の国民車メーカーは、国内市場向けのプロトン、プロドゥアとは異なる。国内市場は小さく、経済的に十分な規模の生産はできない。これまでゴム手袋やパーム油などの産業で、最初は国内市場向けに始め、その後に世界市場を開拓したように、自動車も世界市場を見据えたい。そのためには技術を買うための資金が必要だ。第3の国民車が世界水準の品質になることを願っている。

――あなたがマレーシア政治に残した功績は何か。

マレーシアは、マレー系、中華系、インド系の国民で構成されている。これら3つの人種の政党が連立を組んで政権を運営している世界でも珍しい国だ。1969年に人種暴動が起きたものの、人種間の関係を維持することで60年近く、平和で安定的な社会を築いてきた。

平和を維持するためには格差の縮小が必要となる。このため(マレー系を優遇する)ブミプトラ政策で、マレー系が中華系に追いつけるようにしている。格差はなくなっていないが縮小はしている。

今年3月の政権交代も平和裏にスムーズに行われた。暴動や放火などネガティブなことは何も起こらなかった。この平和と安定こそ、われわれが成し遂げたことだ。60年近く続いたBN政権から、18年に非常に円滑に政権交代できたことは、私の業績の一つだと考えている。

マハティール前首相への共同インタビューの一部を動画<https://youtu.be/EWFyfYH9WeA>で公開しています。


関連国・地域: マレーシア
関連業種: マクロ・統計・その他経済政治

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