• 印刷する

【アジアで会う】高永赫さん トレジャーデータ韓国総括 第307回 データ分析で変えるビジネス(韓国)

コ・ヨンヒョク 1976年、ソウル生まれ。ソウル大学で電子工学を学ぶも中退し、延世大学で経営学や統計学、経済学を学び直す。NHNでゲームサービスの改善事業を手掛けた後、延世大学大学院で認知科学を勉強。個人向けキャリアコンサルタントなどを経た後、韓国政府の支援事業で渡米。13年に帰国後、ライアン・ホリデイ著「グロースハッカー(現代・Growth Hacker Marketing)」の韓国語訳・編著を手掛けたことがきっかけで日本人創業の米スタートアップのトレジャーデータに入社。現在は同社の韓国事業の総括として活躍中。

「経歴だけを見ると、いろいろなことに手を出して落ち着きのない感じがしますよね」。高永赫さんは笑いらそう語る。しかし、その中にはしっかりとした「軸」が存在する。それこそが「データ分析」だ。

「データを分析し、課題を見つけて改善していく。それを通じて、企業ならば収益拡大に、個人ならばキャリアの向上につなげることができます」。高さんの多彩な経歴は、その努力の積み重ねによる結果といえる。

■一冊の本がもたらした出会い

2014年、高さんは、マーケティングのアクセス方法を技術と結合させて費用や時間を最小化しながら爆発的な成長を促す「グロースハック」に関する書籍の韓国語訳に関わる。当初は監修だったが、後に翻訳と編著まで担当することになった。親しいスタートアップの成功例や代表者へのインタビューを詳しく掲載すると、これがとても反響が良く、本はベストセラーとなった。

ある時、本のサイン会でトレジャーデータの韓国支社長と出会う。グロースハックを題材にした講義でトレジャーデータの存在を知っていた高さんが「いつ韓国支社ができたのか」と尋ねると、韓国支社長は「なぜ当社を知ってるのか」と驚いた。この会話がきっかけとなり、高さんはトレジャーデータの韓国イベントに参加し、同社の日本支社や米国本社のメンバーとも知り合いになるまでに交友を深めた。

「米国での創業は断念しましたが、グローバルで活躍したいという気持ちは残っていた。トレジャーデータは自分が得意とするデータ分析のサービスを手掛けており、『ここで働けば楽しく再挑戦できるかもしれない』と思いました」。引き抜きの誘いを受けていた高さんは、同社への入社を決心する。

■つらく楽しかった「独り」時代

トレジャーデータはさまざまな顧客データをひも付けることで、マーケティングの効率化や拡販につなげるクラウドのビッグデータ基盤の「CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)」を手掛ける。高さんは韓国でのマーケティングとセールスを担当したが、当時はクラウドサービスへの不信感が強かった。営業に出向くと、「他社のクラウドなど危なっかしくって信用できない」と門前払いされたこともあったそうだ。

「IT大国と言われるのに、クラウドへの強い不信感は意外ですね」と素朴な感想を言うと、高さんからは「確かに、韓国はインターネットのインフラが整っていた。その点では先進国でしたが、クラウドでは決して他国より進んでいたわけではありません。IT大国という言葉には違和感を覚えました」と意外な言葉が返ってきた。

風向きが変わったのは18年。サムスン電子がクラウドサービスの導入を決めたことを機に「クラウドを使っても安全なんだ」と考える企業が増え始めた。19年には「クラウドじゃないと遅れている」と思われるほどに、クラウドに対する認識はがらりと変わる。トレジャーデータの活躍できる土壌がついに整った。

■日本は几帳面、韓国は挑戦者

トレジャーデータで仕事をして今年で5年目となる高さん。これほど長く、一つの会社にとどまることは初めてだそうだ。それだけに同社で感じた日韓の違いも多い。

高さんは「日本人は几帳面な印象が強く、データをしっかりと残している。トレジャーデータのサービスが日本で成功したのは、データを重視する日本人と日系企業の性格があるのではないでしょうか」と話す。

一方、韓国については「アイデアとチャレンジ精神は強い。何か良いアイデアがあれば、まず試してみるチャレンジ精神がイノベーションを生んだ例も多いです」と説明してくれた。

■アンタクト時代に期待

新型コロナウイルスの感染拡大で世界の経済は停滞を余儀なくされた。「いかに人との接触を避けるか」という「アンタクト(非対面)」が社会のトレンドに浮上する中、トレジャーデータにとってはむしろ、これが商機につながる可能性があるという。

「クラウドへの移行は、新型コロナの影響で一気に進むでしょう。これは、われわれが提供してきたCDPの需要増加につながると期待しています」。

「データ分析」を通じてこれまで多くの人や企業をサポートしてきた高さん。日本人が立ち上げた米国企業の韓国総括というグローバルな立場で、これからも日韓、そして世界をつなげていく。(韓国編集部=清水岳志)


関連国・地域: 韓国
関連業種: マクロ・統計・その他経済

その他記事

すべての文頭を開く

上期の「専利」出願が4%減 コロナ響く、TSMCの首位継続(08/07)

サムスン旗艦機で首位奪還へ ノート20公開、MSとゲーム協業(08/07)

新型コロナ感染者、43人増の1万4499人(08/07)

7月の輸入車販売、5カ月ぶり2万台下回る(08/07)

大韓航空が2Q黒字転換、貨物好調が奏功(08/07)

HDC、アシアナ側の「再査定拒否」に遺憾(08/07)

LCCジンエアーが増資へ、生き残り模索(08/07)

LCC済州航空、上期売上高62%減少(08/07)

すべての文頭を開く

※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。

の記事は有料サービスご契約者様限定記事です。契約すると続きをお読みいただけます。契約されている方は、画面右側にある各種ログインからログインください。
無料トライアルはこちら
購読申し込みはこちら

NNAからのご案内

出版物

SNSアカウント

各種ログイン