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【アジアで会う】すわじゅんこさん 歌手 第305回 現地に勇気、日本から来た歌姫(ミャンマー)

すわ・じゅんこ 栃木県出身。1984年生まれ。獨協大在学中の2006年に歌手活動を始め、12年にプロ野球公式戦で国歌独唱、米国のテレビオーディションで優勝した。ミャンマーのティンジャン(ミャンマー正月)を舞台に15~19年まで5年連続出演(20年は新型コロナで舞台が中止に)、主要都市でのワンマンライブも実施。16年に出身地の栃木県大田原市が創設した国際親善大使の第1号に任命された。

愛くるしい風貌の小柄な体からは想像できないほど力強く、真っすぐで伸びやかな歌声が魅力。今月、新型コロナウイルスの感染が拡大したミャンマーで、運営が危機に瀕する寄付学校「寺子屋」を救援するため催されたオンラインチャリティー動画プログラムに、現地の歌手らとともに日本から唯一出演した。

昨年まで5年連続、ミャンマー最大のティンジャン祭りの舞台に立ってきた「日本からの歌姫」だ。

歌手になろうと決めたのは中学生のころ。歌うことは好きなのに「引っ込み思案でやりたいこともやりたいと言えなかった」。劣等感でいっぱいの中で聴いた鬼束ちひろさんの代表曲「月光」。「こんなもののために生まれたんじゃない」――。歌詞が胸に突き刺さり、生き方を変えた。

大学在学中に、大宮、代々木、秋葉原などで路上ライブを重ねた。足を止めて一緒に踊るなど、音楽を体で感じて寄り添ってくれる人は外国人が多く、海外に関心を持つようになる。米国などのオーディションで受賞したものの決定打を見いだせないでいた頃、ミャンマーとの出会いが訪れた。

■一夜にして人生が変わる

知人の勧めで足を運んだ高田馬場のミャンマー料理レストラン。2015年、若者たちにリクエストされてミャンマー語で歌った宇多田ヒカルさんの「ファースト・ラブ」の動画がネットで流れると、ミャンマー現地で一晩にして25万回以上再生される大反響を得た。その数カ月後には、ティンジャン舞台に出演する。

ヤンゴンの会場は5万人の観衆でぎっしり埋まっていた。覚えたてのミャンマー語で伝統の歌を歌うと、観衆は水を掛け合いながら大合唱。一体感で抱えていた不安が吹き飛んだ。「舞台にいるのに痛いぐらい水がかかり、笑顔が止まらない。言葉を超えた音楽の可能性を感じた」。ティンジャンの舞台に外国人が立つことは珍しく、テレビ放映で一夜にして有名人になった。

以後は、チャンスと縁を得たミャンマーに引きずり込まれていく。現地の歌手と交友を深め曲づくりにまい進し、昨年にはヤンゴンに本拠地を移した。

ミャンマーをもっと知りたいと願う中で、芽生えたのが音楽を通じて貢献したいという気持ち。舞台やスタジオだけでなく、学校に行けない子どもたちが通う寺子屋や日本語学校にも活動の幅を広げる。日本の歌を一緒に歌い音楽の素晴らしさを伝えるつもりが「逆に自分が元気づけられている」。いつかミャンマーのひたむきな若い世代と日本をつなぐ架け橋になりたいと願う。

■「今、ここを生きている」

昨年には初めて、日本語、ミャンマー語両方でオリジナルCD「ありがとう」をリリースした。収録曲「心のふるさと」は、家族思いのミャンマーの人々と接する中で募った自身の親への思いを込め「私は今、ここを生きている」と歌う。「こんなもののために――」と故郷を出た少女は、胸を張り世界に自分を発信する。

新型コロナの逆風は大きく、2枚目のオリジナルCDの収録はスタジオが閉鎖され中断。ミャンマー音楽界でも再生への模索が続くが、「アジア、世界に届く、皆に愛され、歌ってもらえる曲をこの世に残す自分の夢は変わることがない」。誰も予想できない未来を切り拓くため、この先もミャンマーを拠点に歌い続ける。(共同通信ヤンゴン支局・齋藤眞美)


関連国・地域: ミャンマー
関連業種: メディア・娯楽マクロ・統計・その他経済社会・事件

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