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給与削減や整理解雇でセミナー、ジェトロ

日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール事務所は28日、活動制限令に関連した労務管理をテーマにオンラインセミナーを開催した。活動制限令による操業停止で給与削減や解雇を検討する際の法律上の留意点を専門家が解説した。労使間の同意が前提となるが、従業員の月給や労働組合加入の有無によって訴訟リスクが高まる場合もあるという。

セミナーは、▽活動制限令下での雇用に対する政府の方針▽雇用条件変更、解雇時の手続き、法律上の留意点――の2部構成で、ジェトロ・クアラルンプール事務所の田中麻理氏が政府方針を概説。法律上の留意点については、地場ジョセフィン・LKチョウ法律事務所の弁護士、ジョセフィン・ウン・ビーレン氏が講師を務めた。日系企業の関係者ら約300人が参加した。

ジョセフィン氏は冒頭、会社を存続させる上でコスト削減策(給与削減、強制的な無給・有給休暇取得、福利厚生の削減、整理解雇など)に着手する際、「給与削減や解雇は雇用主の特権となるが、労使交渉での同意が必須となる。従業員に対して不当な扱いや強要があってはならない」と強調した。また、労使間の同意を踏まえた上でも、「従業員の福利厚生など諸経費を含めた月給によって、適用されるルールは異なる」ことを念頭に措置を講じるのが望ましいと指摘した。

具体的には、従業員の月給が2,000リンギ(約4万9,000円)未満の場合は1955年雇用法にのっとり、2,000リンギ以上の場合は自社の雇用契約や就労規則に基づいて判断することになる。1955年雇用法では、「従業員は労働局に対して給与や福利厚生の回復を訴えることも可能で、訴訟リスクがある」という。

整理解雇では、事業の損失が発生し、企業の再編によって余剰人員が出た場合に、「事業損失を示す証明書類、証拠を提示し、隠れた不当な動機がないよう誠意を持って対応する」ことで可能になると話し、人的資源省主導で策定された「労使協調のための行動規範」と「整理解雇ガイドライン」に従うことが重要だと説明した。

整理解雇は、実施の少なくとも30日前に労働局に「PKフォーム(http://jtksm.mohr.gov.my/en/soalan-lazim/soalan-lazim-pemberhentian-pekerja)」という所定形式で報告する必要がある。減給する場合も同様に提出しなくてはならない。

■月給低いほど雇用主に不利

コスト削減策の対象となる従業員が労組に加入しているか、いないかにも留意が必要だ。減給や強制的な年休取得は、労働協約に違反しているとみなされる。ただし、「特殊事情」があれば、労組が提訴した場合も、裁判所が棄却する可能性はあるという。

活動制限令が「特殊事情」に当たるかについては「該当する」(ジョセフィン氏)との見方だが、裁判所に対し「特殊事情」の正当性を明示しなくてはならない。

従業員が労組に加入していない場合は、従業員の月給によって申し立ての管轄先が異なり、当局の判断も異なる可能性がある。月給2,000リンギ以下、2,001~5,000リンギとも労働局への申し立てとなるが、ジョセフィン氏は前者について「雇用者は敗訴の可能性がある(控訴も可能)」、後者は「同意がない場合は雇用者が敗訴、同意がある場合は勝訴の可能性が高い」との見解だ。

一方、5,000リンギ超は民事裁判所への申し立てとなるが、裁判となれば双方にコストと時間と手間がかかるため、「従業員がここまで持ち込むケースは多くない」と話す。

■解雇の順は外国人から

セミナーの参加者からは、「出勤、自宅待機など措置に応じて給与に差を付けることは可能か」「解雇の順番はどのように決めるべきか」「給与補助金制度を受けた場合、雇用保証期間となる6カ月は解雇できないのか」などの質問が寄せられた。

ジョセフィン氏は給与に差を付けることについて、「手当てなどでの追加は可能だが、減給はできない」と回答。解雇の順番については「雇用期間が短い順番に解雇するのが原則だ」とした。外国人が含まれる場合は、役職や業務内容が同じであれば、日本人を含め外国人、マレーシア人の順になる。給与補助金制度については、「受領していない従業員に対しては、6カ月の雇用保証は適用されない」と述べた。


関連国・地域: マレーシア日本
関連業種: IT・通信マクロ・統計・その他経済雇用・労務

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