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【アジアで会う】内藤兼二さん リーラコーエン海外統括責任者 第301回 アジアで自身と会社を成長(マレーシア)

ないとう・けんじ 1982年東京都生まれ。立教大学卒業後、2006年にリクルートエージェント(現リクルートキャリア)入社。14年に同社退社後、人材サービス大手ネオキャリアに入社しアジア事業会社リーラコーエンへ。15年にマレーシア赴任、台湾・香港と各国の責任者を経て、18年から現職。クアラルンプール在住、2児の父。

内藤さんは、18年からネオキャリア海外事業本部執行役員を兼務する(本人提供)

内藤さんは、18年からネオキャリア海外事業本部執行役員を兼務する(本人提供)

マレーシアやシンガポール、タイなどアジアの9カ国・地域に展開するリーラコーエンを経営する。リーマンショック後、閉塞(へいそく)感漂う日本を飛び出し、成長するアジアで、人材紹介会社の事業拡大を進めてきた。

各国の現地社員を教育し、マネジメントのノウハウを教える内藤さんだが、元々、英語は大の苦手だった。大学では英語の単位を取れず留年したため、就職先には海外転勤がない仕事を選んだ。

ただ、学生時代に海外とのつながりが全くなかったわけではない。フィリピンとカンボジアの孤児たちの学費を支援するため、国内のチャリティー団体でイベントを開催して200万円を集めこともある。両国の孤児院への支援活動は、現在まで17年間続けている。

■中国で成長のとりこに

営業職としてまず福岡へ赴任した。当時の九州では、東京と比べ求人の年収は低く、週休2日でない会社も珍しくなかった。最初は「なぜこんな条件で働くのだろう」と不思議に思っていたが、東京から福岡に転職した人から「条件面は下がっても、家族との時間は増えて充実している」と聞き、「人生で重きを置く価値は、人それぞれ違う」ことを学んだ。

転機は2008年に起こる。リーマンショックで「派遣切り」を目の当たり。「自分たちの仕事の価値はどこにあるのだろう」と感じ、「将来どう生きるべきか」と真剣に考え始めた。09年に東京勤務となり、業績は良かったものの、「このまま日本にいては成長が止まる」という思いを強めた。

不況下でやりがいを失ったことを当時の社長に相談。そこで出た中国への社内異動制度の話に飛びつき、同国行きが決まった。10年の上海万博を控えた当時の中国は、日本と違い活気に満ちあふれていた。建設ラッシュ、日系企業の進出も盛んで、働けば働いただけ結果が出る充実した日々を過ごした。

蘇州の拠点立ち上げを最前線で担当するなど、3年間で中国の拠点数は3カ所から7カ所に増え、従業員数は40人から200人に拡大。「成長のとりこになった」という。

■チャイナリスクで東南アジアへ

12年にはそんな中国でも、事業の壁にぶち当たる。日本による尖閣諸島の国有化に端を発した反日デモの激化だ。日系企業の求人は急減。チャイナリスクにより、日系企業の進出先に東南アジアが浮上した。

13年にはタイ・バンコクへ異動し、同国の拠点立ち上げとベトナム事業再建を任された。しかし、14年5月に軍事クーデターが発生し、赴任から半年で、急きょ帰国することに。

それまでモーレツ社員として働き続けてきた内藤さんに、方向転換が迫られたのはこの頃。日本帰国後はフリーターや就職歴のない人を支援する事業の責任者を務めたが、中国で身についたトップダウン型のマネジメントをしたことで周囲から総スカンを食らうことに。

結果を重視するあまり、知らず知らずのうちに「人間らしさが失われていた」ことを猛省し、人間関係の質を高めて組織を成長に導くスタイルを模索し始めた。同時に「アジアでやり残したチーム作りをしたい」との思いが頭をもたげてきたとき、リーラコーエンの話が舞い込んだ。

リーラコーエン入社後は、マレーシアへ拠点新設のために赴任。当初は、マレーシアに拠点を置く計画はなかったが、前の職場のリクルートが展開していなかった同国などで事業を拡大することになった。

組織作りの夢は実現し、マレーシア拠点の社員は1年で20人に増えた。その後は、ローカルスタッフ中心でペナンに拠点を新設するなど、3年で50人規模となり、人材育成も順調に進んだ。チームプレーを重視する経営スタイルを社員に教え込むことでマレーシア拠点を任せ、自身は他国での拠点立ち上げや立て直しに奔走できた。

会社を成功させるための組織作りを心がけてきた内藤さんの目には、日系企業の採用は保守的と映る。3月18日からの活動制限令で採用活動がままならないマレーシアでも、「多国籍企業は確実に進化している」のを感じるからだ。時代の変化に合わせたオンラインを活用した人材紹介を通じ、日系を含む企業が「いかに企業変革を進めるか」を支援し、リーラコーエンが持つ1万社以上の取引先との関係を生かして、新規商材も展開していく。「人材紹介プラスアルファ」のサービス展開ができる会社へと変革中だ。(マレーシア版編集・大谷聡)


関連国・地域: マレーシア日本
関連業種: サービス社会・事件

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