• 印刷する

【NNA景気指数】ベトナム 2020年第1四半期予測

NNA景気指数=NNA景気状況指数(NNA CI)とNNA景気動向指数(NNA DI)により構成される。
NNA CIは景気の量感(景気の山、谷等)を表し、NNA DIは景気の方向性を示す。
両指標ともNNAのベトナム経済に関する記事をセンチメント分析するとともに、マクロ指標と組み合わせて算出している。
NNA DIでは最新月を含めた過去3カ月におけるDIの平均値により、以降3カ月の景気の状態について判断している。判断基準は下記の表によっている。

NNA景気指数=NNA景気状況指数(NNA CI)とNNA景気動向指数(NNA DI)により構成される。 NNA CIは景気の量感(景気の山、谷等)を表し、NNA DIは景気の方向性を示す。 両指標ともNNAのベトナム経済に関する記事をセンチメント分析するとともに、マクロ指標と組み合わせて算出している。 NNA DIでは最新月を含めた過去3カ月におけるDIの平均値により、以降3カ月の景気の状態について判断している。判断基準は下記の表によっている。

■高成長維持も勢いに一服感

・主要指標が前期から悪化

・日系の景気楽観姿勢も弱まる

・投資誘致は引き続き順調

・輸出減速でも内需がけん引へ

<経済アナリストの目>

ベトナム統計総局が発表した2019年第3四半期(7~9月)の国内総生産(GDP)成長率は、前年同期比7.3%、1~9月の累計では6.98%となり、世界的に景気後退の懸念が高まる中で、ベトナム経済は総じて好調だった。19年は6%台に減速するという大方の予想を裏切り、年末にフエ副首相は19年の通年のGDP成長率が7%となると発表した。他方で、インフレ率は3%以下に抑制される見通しだ。

景気の状況を示すNNA CIは、19年10~12月に3カ月続けて低下した。9月に101.2と19年のピークを記録した後、10月には100.9に、さらに12月には97.7へと低下した。NNA CIを構成する各指標の変化を見ると、この3カ月間は悪化する指標が多く、特に11月は全ての指標が悪化した。経済記事のセンチメント指数も11~12月に悪化。10~12月の掲載記事の中では、「アフリカ豚コレラ」の流行が続いていることに伴う豚肉供給不足と価格の高騰、デング熱の流行、ベトナム鉄鋼製品輸出に対するダンピング調査の動き、鉱工業生産指数の伸び鈍化などのニュースがセンチメント悪化の要因となる記事の中で目立った。逆に、外国人来訪者数が高い伸びを示していること、外国銀行によるフィンテック(ITを活用した金融サービス)の展開についての記事などが、プラスのセンチメントをもたらす記事として目についた。

景気の方向感を表すNNA DIは10~12月の3カ月平均で16.7%となった。この指標は工業生産、輸出入、小売りなどの各指標が3カ月前と比べて増えていれば「1」、減っていれば「0」、不変であれば「0.5」を取り、その合計値を分子とし、ベトナムでNNA景気指数を算出するために参照している全指標数7を分母として算出される。16.7%という水準は景気動向判断基準に照らすと「大雨」に該当する。3カ月前に比べて多くの指標が悪化してきており、好調であったベトナム経済においても20年第1四半期は前期から引き続き景気が後退することを示唆している。

6%台への減速が予想された19年のベトナム経済は通年で7%の成長率を実現したとみられ、周辺の東南アジア新興国と比較してもベトナム経済の好調さは目立っていた。ただし、上記の通り景況感を表すNNA CIは19年後半に趨(すう)勢的に悪化し、方向性を表すNNA DIについても20年第1四半期における景気後退の継続を示唆している。

米中貿易摩擦の結果、生産拠点を中国からベトナムに移転する動きを見せる企業もあり、これまでのところベトナムは国際環境の悪化の影響から断ち切られていたように見えていたが、米中合意も踏まえて20年はベトナムの真価が問われる年になる。

日本格付研究所 国際格付部長・チーフアナリスト 増田篤

<ベトナム編集部の目>

2019年は前年に続き、経済成長率が7%を超えるなどベトナムは本格的な高度成長期に入った。一方で、20年は過去2年の勢いがやや落ち着くとの見方が強い。NNAがアジア14カ国・地域に進出する日系企業に対して実施した景況感調査では、ベトナムの20年の景気が「良くなる」と回答した企業は54.8%。景気が「悪くなる」と答えた企業は40.5%だった。前年の調査と比べると、景気が良くなると答えた企業は61.5%から減り、悪くなると回答した企業は33.8%から増えたことになる。ベトナムは調査対象となった国・地域の中で最も景気の先行きに楽観的だったが、減速は避けられない情勢なのかもしれない。

19年の自動車販売数は、前年比12%増の32万2,000台。専門家の予想では、20年も30万台を突破して34万台になるものの、伸び率は6%にとどまる見通しだ。

産業面でベトナム経済のカギとなるのは、サムスン電子の新型スマートフォンの生産だ。ベトナムの電話・電話部品の輸出は年間518億米ドル(約5兆6,700億円)規模と、輸出全体の約20%を占めるため、サムスンのスマホ生産が経済に与える影響は大きい。同社は1月、折りたたみ型のスマホ「ギャラクシー・フォールド」の後継機「ギャラクシー・ブルーム」を発表したが、発売時期については明らかにしていない。

また、サムスン自体の業績も、ベトナム経済のパフォーマンスに影響が大きい。同社の19年通年の決算(速報値)によると、営業利益は前年比53%減。売上高は5.9%減った。ただ、フラッシュメモリーやDRAMの在庫は正常な水準に近づいているとされ、20年は期待が持てる状況とされる。

米中貿易摩擦の影響もあり、19年のベトナムから米国向けの輸出は前年比28%伸びた。ただ、これほどの「特需」の風が20年も吹くのかは不透明。特に、米国では大統領選が控えていることで、貿易摩擦の展開に影響を与える可能性はある。

海外直接投資(FDI)は前年比7%増、小売売上高は12%増とともに堅調。生産地としてのベトナムの優位は東南アジアで頭一つ抜けており、引き続き投資の誘致は順調に進むとみられる。また、消費者の購買力向上が続いていることで、ホーチミン市を中心に内需型の企業も多くが業績を伸ばすとみられる。19年にユニクロが初出店を果たし、無印良品の1号店もオープンが近いとされるなど、伸びしろは依然として大きい。輸出が鈍化したとしても、不動産や飲食、アパレル、小売りなどの伸びがカバーする可能性は高いだろう。

NNAベトナム編集長 小堀栄之

<本資料について>

本資料は、株式会社NNA(以下、弊社)が皆さまに情報提供を行う目的で作成したものです。本資料の作成にあたり、弊社は情報の正確性等について細心の注意を払っておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。本資料に記載した弊社の見通し、予測、予想、意見等(以下、見通し等)は、本資料作成日現在のものであり、今後予告なしに変更されることがあります。また本資料に記載した弊社の見通し等は将来の景気や株価等の動きを保証するものではありません。

また、本資料の著作権は弊社に属し、第三者への無断開示および転用は固く禁じます。


関連国・地域: 中国香港台湾韓国タイベトナムマレーシアシンガポールインドネシアフィリピンオーストラリアインド日本
関連業種: 自動車・二輪車電機食品・飲料マクロ・統計・その他経済

その他記事

すべての文頭を開く

(表)各国・地域の新型肺炎感染者数(21日正午) 韓国の感染者156人に、3日間で5倍(16:35)

1Q成長率、5%台に減速も 長期的には6~7%維持の予測も(02/21)

(表)各国・地域の新型肺炎感染者数(20日正午) 韓国の感染者82人に、2日で51人増(02/21)

マサン、洗濯洗剤メーカー株52%の買収完了(02/21)

運輸省、鉄道インフラ向上に7兆ドン支出(02/21)

メコン地方、2件の高速道建設で67兆ドン(02/21)

サムスン電子、ベトナムのパネル工場増強へ(02/21)

鉄道総公社、新型肺炎肺炎で収益減少(02/21)

ビナコネックス、傘下の電力事業者を売却へ(02/21)

すべての文頭を開く

※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。

NNAからのご案内

出版物

SNSアカウント

各種ログイン