ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の公表が2021年に停止される見込みになっていることを受けて、大手会計事務所KPMGはこのほど、アジアの主要銀行を対象に実施した対応状況に関する調査結果を公表した。香港の銀行については代替指標の移行作業などが比較的順調に進んでいると報告した。21日付信報が伝えた。
香港のほか、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポールに営業拠点がある大手銀行20行余りを対象に調査を実施。香港では対象10行(地場銀とグローバル銀を含む)のうち、6行が既に金利指標の移行プランの策定を終え、5行はRFR(リスク・フリー・レート)と呼ばれる新しい基準金利をベースにした金融商品を販売していた。このうち4行は欧米資本で、LIBORから代替指標金利への移行準備を積極的に後押ししている欧米金融当局のスタンスを反映した。
LIBORからの切り替えで多くの銀行が心配しているのは訴訟リスクで、香港では6行が最大の懸念要因だと指摘した。また5行は、代替となる金利指標の利用が十分に広がっていないことを憂慮した。
LIBORは、銀行間で資金をやりとりするインターバンク市場で最も普及が進んでいる指標金利の一つ。銀行の資金調達、運用、金融商品などの金利を決める際の基準になっている。ただ、12年以降、欧米金融機関などでLIBORを操作したとする不正が相次ぎ発覚し、信頼性が低下。英国の金融監督機関である金融行為規制機構(FCA)は、21年以降にLIBORが停止される可能性があるとの声明を発表し、国際的にこれに替わる指標金利を策定する動きが続いている。
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