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【アジアで会う】藤岡頼光さん QQイングリッシュ社長 第272回 異業種経営から学ぶ(フィリピン)

ふじおか・らいこう 1965年、埼玉県出身。高校卒業後、趣味のバイクで仕事をしようと、バイク便を始めた。後に会社を興し、輸入販売に事業を広げた際に訪問した欧州で英語の必要性を実感。40歳を過ぎてから有名観光地のセブ島で英会話学習を始めた。現地の不十分な学習環境を体感し、英会話学校の設立を決意。異業種参入に苦戦するも、今ではフィリピン最大規模の学校に成長している。

白シャツに白ズボンのいでたちは、仕事をする上での「正装」だ。日本から訪れる英会話スクールの生徒からも「会いたかった」と声をかけられるほどの有名人。「毎日着替えてはいますよ」とジョークを飛ばすが、その表情には経営者としての鋭い視線がある。

セブ州に設立した英会話スクールは、この10年で年約5,000人が学ぶマンモス校になった。教師の数は約1,300人と、2番目に大きい学校の3倍以上。全て正社員だ。

街中にあるITパーク校と海沿いのシーフロント校の2カ所で運営している。マンツーマン英会話のほか、校内に並ぶ100を超えるブースではフィリピン人英語教師がパソコン画面の先にいる生徒と真剣に向き合っている。自身の経験を踏まえた、日本式の英会話スクールに仕上がりつつある。

■「格安」で見つけたセブ島

学生の頃、バイクの魅力にとりつかれた。自らのハンドル操作で地面から伝わる振動を受け取り、風を切って走り抜ける。取得可能年齢になると、すぐに免許を取った。高校卒業後、当時はまだなじみのなかったバイク便を個人事業主として始める。「父親は小説家で毎日家にいた。会社員として働くイメージがわかなかった」

会社員よりも給料はよかった。その元手で、バイク便の会社を立ち上げた。社員が増えるにつれ、バイク販売や修理にも手を出したが、自社で始めた途端に大手から部品の供給が打ち切られた。修理店の出店に関する業界のルールを知らずに破っていたからだった。

それならと、日本のルールに縛られない欧州メーカーのバイクの輸入販売に乗り出す。商談で訪れたのはブランドバイクで有名なイタリア。そこで英会話の必要性を実感することになる。食事に誘われても会話が続かない。ビジネス交渉はコーディネーターに任せることができるが、雑談となるとそうはいかない。自身の英語力のなさに落胆した。

英会話学習でまず頭に浮かんだのが、英国と米国。だが経営者で時間がなく、地理的にも遠い。「格安 英会話」とインターネット検索すると、セブ島が出てきた。「英会話でフィリピン?セブ島?」。怪しさがぬぐえなかったが、飛び込んだ。2005年、40歳を迎えていた。

入学した英会話スクールは韓国人が経営していた。国際色豊かな学校を期待したが、95%が韓国人。聞けば、火事になった建物を英会話スクールに改装したらしく、日本人の感覚では十分とは言いがたい設備だった。学校にはオンラインコースもなかったが、自費でパソコンを購入し、「日本でも学習できるようにしてくれ」と掛け合った。

■ネットとリアルを融合

「日本人が満足して勉強できる環境をセブに作れないか」。セブと日本を行き来している間にこう考えるようになり、2009年に英会話スクールを開校した。だが、日本の留学仲介業者に売り込むと「日本はネイティブ信仰だから、フィリピンの英会話留学は売れない」と一蹴された。

日本の業者が言っていたことは当たっていた。バイク便で約10万枚のチラシを配ったが問い合わせはゼロ。開校当初は生徒も増えなかった。

10人足らずで始めた英会話スクールは波乱の幕開けだった。システムのバグや停電が発生。フィリピン人の従業員や教師の管理も初めて。経営者の道を歩んでいたとはいえ、異業種参入にとまどった。

それでも開校当初からこだわったのが、オンラインと実際の学校での学習。事情が分からないまま現地に来て学ぶのはハードルが高い。事前に学習の感覚をつかむことができれば、留学もしやすく、継続性も高まる。自分の経験からネットとリアルの融合が不可欠だと考えた。

生徒と教師のスキルが底上げされる環境作りに注力した結果、生徒数が増え始めた。今では日本のほか、中国や韓国、ブラジル、イランなど7カ所に拠点を構えている。さらに拠点数を増やす計画を練っている。セブの学校もまだまだ需要があると確信している。

学校を運営するスタッフも国際色豊かだ。会話は自然と英語になる。長年勉強しても発音には自信がないが、それでもいい。「正しく伝われば世界は開ける」との信念がある。

好きなバイクに関わって一生を終えると考えていた。だが、「バイクの雑談を英語でしたい」と考えてから、人生は想定外に広がった。英会話スクールの生徒たちにもこの地をきっかけに、より大きな舞台で自分を試してほしいと考えている。(フィリピン版編集・竹内悠)


関連国・地域: フィリピン
関連業種: マクロ・統計・その他経済社会・事件

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