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【外国企業の日本戦略】日本の賃貸住宅市場に新風 印OYO、IT駆使し新サービス

インドのホテルチェーン大手「OYO(オヨ)」が日本のヤフーと立ち上げた合弁会社、OYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN(以下オヨ・テクノロジー、東京都千代田区)が、日本の賃貸住宅市場に変革をもたらそうとしている。デジタル技術を駆使してインドなどで急拡大させてきたホテルチェーン事業のノウハウを活用し、「住居費の低減」「いつでも退居可能」などの新たなサービスを提供する。

OYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPANの勝瀬CEO=26日、東京(NNA撮影)

OYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPANの勝瀬CEO=26日、東京(NNA撮影)

日本では、音楽やアパレル、家具などにおけるサブスクリプション型サービスの移行に象徴されるように、商品やサービスの「所有」から「利用」へと個人の意識が変化している。オヨ・テクノロジーの勝瀬博則最高経営責任者(CEO)は「日本の賃貸住宅市場は従来、需要が供給を上回り、借主側の立場が弱く自由度も低かった」と指摘。日本の人口減少によって供給が需要を上回る時代のニーズに合った、借主にとってより柔軟な賃貸サービスの必要性を強調した。

同社が3月上旬に開始した新サービス「OYO LIFE(オヨ・ライフ)」では、すべての物件が家具・家電付きで、電気・ガスなどの公共料金やWi-Fiなどの通信費、基本的なアメニティーを含んだ家賃となっている。入居時の礼金や敷金、仲介手数料は不要で、2年契約縛りもなく気軽にいつでも入居・退居が可能だ。スマートフォンを通じて、物件探しから契約、家賃の支払いの手続きまで一気通貫のサービスを提供する。

「旅するように暮らす」をコンセプトとする同サービスの主なターゲットは、サブスクリプション消費を志向する若年層。賃貸住宅は、入居期間が長いほど費用を低く抑えられるが、ライフスタイルに合わせてたびたび住居を変える一方で費用は低く抑えたい消費者のニーズを取り込む。

「オヨ・ライフ」の物件例(OYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN提供)

「オヨ・ライフ」の物件例(OYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN提供)

月額家賃は、マンションタイプの場合、10万~100万円に設定。同水準の一般賃貸の物件に比べて月額は高めだが、家電・家具や光熱費、通信費、共益費などすべてを含むため、18カ月以内であれば総費用は安く抑えられるという。

一方、不動産オーナーにとっては、オヨ・テクノロジーが借り上げて、入居者にサブリースするため、家賃が保証され、定期的なメンテナンス、ヤフーのマーケティング力や集客力を活用することができる。

■1000軒以上の物件を確保

オヨ・ライフ向けの物件として、3月下旬までに東京23区内で1,000軒以上を確保した。賃貸の希望者も1万人を超えるなど「上々の滑り出し」(勝瀬CEO)という。今後は1日当たり30~70軒のペースで提供物件を増やしていく方針だ。当面は東京23区内での事業展開を予定しているが、将来的には全国展開も視野に入れている。

インドのOYOは現在、インド国内のほか、中国やインドネシアなど10カ国・500都市以上でホテルチェーンを展開するが、賃貸住宅事業でエントリーするのは日本が初めて。勝瀬CEOは、日本でホテルではなく、賃貸住宅事業を開始した理由について、1)日本では賃貸住宅市場の規模がホテルの10倍以上と大きいこと、2)ホテル仲介については既にITを活用した課題解決企業が存在し、競合が存在すること、3)人口減少を背景として賃貸住宅市場が移行期にあること――の3点を挙げた。

勝瀬CEOは「われわれの事業を日本の不動産の秩序を壊そうとする『インドからの黒船』だという指摘があるが、それは全く違う」と強調。「日本が人口減少の局面にある中で、現在の賃貸不動産で欠けているものをわれわれが補うことで、借主、不動産所有者、仲介企業がいずれも満足できるシステムを作り上げたいと考えている」と語った。

■関連新サービスも開始

関連新サービスの記者会見に出席したヤフーの川邊社長(左)とOYOのアガルワルCEO=28日、東京(NNA撮影)

関連新サービスの記者会見に出席したヤフーの川邊社長(左)とOYOのアガルワルCEO=28日、東京(NNA撮影)

オヨ・テクノロジーにはOYOが66.1%、ヤフーが33.9%を出資している。28日には、勝瀬CEOのほか、OYOのリテシュ・アガルワルCEO、ヤフーの川邊健太郎社長兼CEOが出席し、関連新サービス「OYO PASSPORT」「OYO Patner不動産」の発表記者会見が行われた。

OYO PASSPORTは、オヨ・ライフの利用者に、カーシェアリングや家事代行、コーワーキングスペースなどのシェアリングサービスを連携して提供するサービス。一方、OYO Partner不動産は、既存の不動産仲介事業者を取り込むことで、オンライン以外に実店舗を使ったサービス拡充を図るものだ。

アガルワルCEOは、「われわれは不動産(物件)、ホスピタリティー、テクノロジーの3つで強みを兼ね備えている。日本の住宅市場に変革をもたらしたい」と語った。

ヤフーがインド企業との提携により、日本で新サービスを始めるのはOYOが第2弾。昨年には同じくインドの電子決済大手「ペイティーエム」との提携により、バーコードを使った新たなスマホ決済サービス「PayPay(ペイペイ)」を開始した。川邊社長は「今後も世界のユニコーン企業(評価額が10億米ドル=約1,100億円以上の未上場のスタートアップ企業)の日本進出の支援を進めていく」と話した。

<メモ>

OYOグループ:2013年に当時19歳だったリテシュ・アガルワル氏が創業した。デジタル技術を使ったホテルチェーン運営で急速な成長を遂げており、現在、10カ国・500都市以上で1万8,000軒以上の物件を運営している。OYOグループには、ソフトバンクグループの投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」がこれまでに1,000億円以上を投資している。


関連国・地域: 中国香港台湾韓国タイベトナムミャンマーカンボジアマレーシアシンガポールインドネシアフィリピンインド日本
関連業種: 建設・不動産IT・通信観光

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