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【アジアで会う】金光淳規さん グランドライン社長 第234回 日本のために働く人を増やす(フィリピン)

かねみつ・じゅんき 1984年千葉県千葉市生まれ。明治大学経営学部在学中に公認会計士の資格を取得。大学4年生だった2006年12月にあらた監査法人(現PwCあらた有限責任監査法人)に入社し、卒業後の07年4月に正社員に。11年4月にグランドライン(東京都中央区)を設立し、その後、独立した。現地の完全子会社グランドライン・フィリピンの立ち上げでパートナーだったフィリピン人女性と11年7月に結婚し、現在は4歳の娘と3人暮らし。2人目が今年生まれる予定。

オンライン英会話や英語留学プログラムを提供するグランドライン・フィリピンのほか、経営コンサルタントの日本経営(大阪府豊中市)との合弁で、企業進出、税務申告や決算対応などをサポートする日本記帳代行(ジャパン・クオリティー・ビジネスソリューションズ=JQB)をフィリピンで経営する。2社には、金光さんを除き3人の日本人が働くのに対し、フィリピン人スタッフは85人いる。

「日本は近い将来、4,000万人の高齢者を5,000万人の働き手が支えることになる。1,000万人が海外へ出て、現地の人を雇用すれば1人で何十倍も稼ぐことができ、支え手を増やすことができる」というのが持論。グランドラインの場合、日本人1人当たり、現地で20人以上を雇用する。

「日本の人口は減っていく。高齢化が進んでも、これまでの生活水準を維持していくには、海外に事業を広げていくしかない」と、金光さんは語る。

■きっかけはオンライン英会話

自営業だった父の影響で、高校時代から「将来は自分の会社を作ろう」と考えていた。高校卒業時には、24時間体制でクライアントを警護する会社の設立を構想したが、父から「コスト度外視で、経営的な発想の根本ができていない」と酷評された。

大学では法律の知識も含まれる会計士の勉強に打ち込んだ。経営を学び、◇在庫を持たない◇固定費がかからない◇将来性がある――の3つを満たすビジネスでの起業を心に決めた。

あらた監査法人では、外資系企業の日本法人の監査業務が多く、仕事で英語が求められた。仕事をしながら週2回のレッスンで英会話学校に通うのは難しく、「月謝が高い割に、仕事に役立つ英語が身につかない」と思っていたところ、08年半ばに設立間もないオンライン英会話学校のレアジョブを見つけた。仕事が終わった後の好きな時間に、毎日30分のレッスンを月額5,000円で受けられた。入社当時は280点ほどだったTOEICは、オンライン英会話を始めて半年で680点に上がった。起業の3つの条件を満たすビジネスも見つけた。

国立フィリピン大学(UP)在学生や卒業生から英語を学ぶうち、当初フィリピンに抱いていた「危ない」「ジャパゆきさん」といったイメージは薄れ、「フィリピン人は頭が良いな」と思うようになった。フェイスブックを最初に教えてくれたのもフィリピン人講師だった。

講師の誘いを受け、09年4月に初めてフィリピンへ旅行。講師の実家である西ビサヤ地方イロイロ市近郊の農村を訪れた。インターネット回線は通っていなかったが、村の若者は皆、20~30分かかる町にあるネットカフェを利用し、フェイスブックのアカウントを持っていた。「面白い国だ」と思い、フィリピン人講師を使うオンライン英会話学校を立ち上げる気持ちが固まった。

■人材確保、もたもたできない

ただ、グランドライン・フィリピンを立ち上げた11年には、レアジョブも大きくなり、競合も増えていたのでBtoC(企業・一般消費者間取引)のオンライン英会話学校は難しいと判断。グランドラインは、企業の従業員研修などを対象とするBtoB(企業間取引)でいくことにした。母校の大学から学生を送ってもらうプログラムや、監査法人業界などへの売り込みで徐々に実績を増やした。オンライン英会話を始めるきっかけになったレアジョブと、17年に資本業務提携し、日本からの送客は安定。現在は顧客の95%を法人が占める。

英会話学校では、◇海外に赴任する人向け◇海外からの報告を日本で受ける人向け◇海外の学校に入学させる子ども向け◇旅行で使う人向け――など、ターゲットの細分化が進みつつある。グランドラインは、経営、製造、会計など業務に必要な英語を学習できる場を目指しており、競合は英米の英語学校となる。フィリピン留学の費用は英米の3分の1で済むほか、フィリピン人にとって英語は第2言語で、母国語とは別に習う日本人に合っているのが強みとみる。

このほか、公認会計士の資格を生かすため、15年にJQBの前身を設立。企業が海外に出ることで、会計などのビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)も必要になるとみており、JQBをBPOセンターにしていく考え。

今年は、人材派遣業にも参入する。提携先と交渉中で、事業開始後はまず、介護系、建設業、英会話学校の講師を中心に日本へ人材を送り出す予定だ。

気になるのは、フィリピンでここ数年、中国人が増えていること。一説には現地で働く中国人は100万人を超えるともいわれる。「日本は経済的、技術的に優位性があるうちに、フィリピンの人材を囲い込まなければ、もたもたしていると中国に持っていかれてしまう」。金光さんは、今後5~10年が勝負とみている。(フィリピン版編集・大谷聡)


関連国・地域: フィリピン日本
関連業種: サービス社会・事件

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