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【モバイル決済元年】5年内にユーザー2千万人 アヤラ傘下のGキャッシュ

第2回

クリスマス商戦の時期に入り、モバイル決済サービスも活気を帯びてきた。フィリピンの財閥アヤラ・コーポレーション傘下「Gキャッシュ」は、親会社のネットワークを生かして加盟店を増やしており、同国で最大のユーザー数を持つ。Gキャッシュの開発を手掛けるグローブ・フィンテック・イノベーションズ(ミント)のアンソニー・トーマス最高経営責任者(CEO)に同社事業の概況と展望について聞いた。

――Gキャッシュによる決済取引の規模と顧客層は。

モバイル決済の取引金額や件数は開示できないが、取引額よりも、どれほどの頻度で使われているかを重視している。1回の取引額は少なくても、頻度の高い利用を促したい。

(2018年6月時点で)プラットフォームには800万人のユーザーが存在する。月間ではその20%がアクティブだ。ミレニアルズ(1980~90年代生まれ)がコアユーザー。フェイスブックなどのオンラインサービスに慣れ親しんでおり、これから世帯を形成していく世代がターゲットとなる。学生やフリーランサーのコミュニティとの関わりも重視している。

ミントのアンソニー・トーマスCEO=首都圏タギッグ市(NNA撮影)

ミントのアンソニー・トーマスCEO=首都圏タギッグ市(NNA撮影)

――「ペイマヤ」など他社のアプリと比較した強みとは。

ペイマヤはシンプルな決済アプリ。Gキャッシュでは映画館のチケット予約もできる。また、「コインズ・ドット・ピーエイチ(Coins.ph)」はビットコインなどを取り扱っている点で異なる。われわれは仮想通貨とは距離を置いている。

決済ビジネスは利益率が低いためスケールが必要となる。中国の阿里巴巴集団(アリババグループ)系アント・フィナンシャルサービスグループと提携しており、9億人という国内外の「アリペイ(支付宝)」ユーザーのプラットフォームへアクセスできる。フィリピンの人口の9倍だ。

――決済手数料を0にしている。

Gキャッシュを普及させるため、現在は店舗など契約企業への初期導入費用を無料にしている。QRコード決済の場合、レジにボードを掲示するだけで済む。もちろん決済端末は必要だがコストは安い。1年間の決済手数料は0%。それ以降についてはまだ決まっておらず、契約企業にもよるが、クレジットカード決済手数料のレンジである3~5%は下回るだろう。

――サリサリストア(小規模雑貨店)への展開予定はあるか。

まずはアヤラ・グループのショッピングモールからスタートさせているが、ウェットマーケット(伝統市場)も含め、小規模・零細な事業者にも普及させたい。サプライチェーンに関わることだが、売上金の引き出しや資金調達、商材の仕入れの際もモバイルマネーを使えるようにする必要がある。モバイルマネーの普及のため、市場全体を狙う方針だ。われわれが直接サリサリストアに営業することはないが、(代理店などを介して)展開したいと考えている。

ミントの従業員は約600人。Gキャッシュのアプリやローン事業「フューズ」の開発を担う(NNA撮影)

ミントの従業員は約600人。Gキャッシュのアプリやローン事業「フューズ」の開発を担う(NNA撮影)

――中長期的な目標は。

「キャッシュレス国家」の構築を目指している。全ての人に信用や保険など、金融へのアクセスをもたらす。われわれはユーザーの「ライフ(生活や人生)」に寄り添う。決済履歴が蓄積され、頻度や利用金額によって信用スコアが向上する「G―スコア」で、個人信用情報の構築を支援する。スコアリングはまだフィリピンにない。

こういった新しいビジネスは急激に伸びることもあり、流動性が高いので時期は明言できないが、ユーザー数を3~5年内には2,000万人に伸ばし、人口の5分の1をカバーしたい。オンラインでもオフラインでも、少額の支払いにGキャッシュが関わる。ライフスタイルに欠かせないものにする。(聞き手=八幡茜)

※詳細データは、NNA発行のモバイル決済に関する調査レポート「フィリピンにおけるモバイルペイメントの現状と展望 2018-2019」に掲載しております。詳しくは<https://www.nna.jp/corp_contents/book/asean/181017/>をご覧ください。


関連国・地域: フィリピン
関連業種: 金融IT・通信サービス

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