オーストラリアの最大野党労働党は、2030年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を05年の水準の45%に引き下げる目標を達成するため、ターンブル前首相が掲げた新エネルギー政策「ナショナル・エネルギー・ギャランティー(NEG)」のCO2削減目標を復活させる方針だ。ショーテン労働党党首が22日に発表した。地元各メディアが伝えた。
ターンブル前首相は昨年10月、2015年12月に採択された地球温暖化対策の新しい枠組み「パリ協定」の合意に基づき、新環境政策としてNEGを採用すると発表。NEGは政府が電力小売企業に対し、全調達電力のうち一定割合を石炭・ガス火力発電所、水力発電所、蓄電施設などの安定した電源由来とするよう強制するのが骨子で、2030年までにCO2排出量を05年比で26%削減するという目標を掲げていた。
だが、与党内の反発を受け、ターンブル前首相は今年8月にNEGのCO2削減目標の法制化を撤回。同月24日に開催された与党自由党の党首選挙でモリソン財務相(当時)に敗れて首相の座を追われた。
先月20日にニューサウスウェールズ州で行われた連邦議会の補欠選挙では、与党保守連合(自由党・国民党)が立てた候補者が落選。与党の気候変動対策が敗因で、CO2削減目標がないNEGが有権者にとって納得のいくものではなかったことが問題だと指摘されている。
ショーテン労働党党首は、NEGのCO2削減目標を復活させたい考えを表明。議会で論議を行い、年内に結論を出したいとしている。与党がCO2削減目標の復活を拒否した場合は、労働党の独自の政策を打ち出す考え。
■蓄電池の購入に補助金を
労働党は次期総選挙で政権を獲得した場合、年収が18万豪ドル(約1,475万円)未満の世帯を対象に、蓄電池の購入に1世帯当たり2,000豪ドルの補助金を拠出する方針。6年間で100万世帯への導入を目指し、これにより30年までに再生可能エネルギーの割合を50%に引き上げる目標を達成したい考えだ。
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