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【アジアで会う】シンシア・テンさん ASUS日本マーケティングマネジャー 第230回 ASUS JAPAN立ち上げメンバー(台湾)

シンシア・テンさん 台湾台北市出身。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業後、日本でIT企業向けのPR会社に入社。2002年に台湾のパソコン(PC)大手、華碩電脳(ASUS)に日本事業所の立ち上げメンバーとして加わり、06年からマーケティング企画のプロモーション担当に就任。18年からはマーケティングマネジャーとPR担当を兼任している。週2~3回はボクシングフィットネスに通い、土日はドライブを楽しむアクティブ派。

高校では美術を専門に学んだ。卒業後は日本の美大に進むため、まず東京の日本語学校に入学することを決める。日本行きまでの空いた時間は「何もしないのが嫌いだから」と、台北の広告会社でのアルバイトに充てた。「何事にものめり込みやすい」気質が買われてか、大学に進んだ後も、ことあるごとに来日した撮影隊の通訳やコーディネートを任されていたという。

■乗れない電車

1990年代後半からIT機器の普及が一気に加速する中、「複雑な作業がクリック一つでできる」PCの利便性は、アナログなデザイン手法に慣れきっていたシンシアさんの心を大きく揺さぶった。「ITを活用して自分のデザインとアイディアを具現化したい」という思いが募り、大学卒業後に入ったPR会社では、グラフィックデザインやホームページ作成を2年間にわたり担当した。

ただデザインをめぐって上司と意見が分かれると「あなたは外国人だから」と一蹴され、それ以上の対話を拒まれることが多かった。その頃に頭を離れなかったのは、かつて日本語学校で教えられた「日本社会は満員電車だ」の例え。電車が来てもなかなか乗れない。さらに一度乗った客は周囲と一緒になって、次の駅で乗ってくる人を押し返すようになる。

自分はただ押し返されるだけの側なのか。失意の中で帰国も考えたが、ある日求人サイトでASUSが日本事業所の立ち上げに当たり「日本語を話せる台湾人」を募集しているのを発見。迷わず応募を決めた。

■日台の板挟み

02年に唯一のASUS JAPAN日本常駐社員として採用され、PR全般を担うことになった。もともと米アップル製品のユーザーだった身だけに「最初はいまひとつ製品になじめなかった」ものの、ここでものめり込む気質を発揮。日本のメディアに対して自社のPCを紹介し、パーツやチップセットについての知識を身に付けるうち「ASUSは面白い製品を作っている」ことを実感し、日本人にさらに詳しく知ってもらいたいとの思いが強くなった。

ASUS JAPANの規模拡大に合わせ、06年にはマーケティング企画のプロモーション担当に就任。PCなどの新製品が発売されるたびに、日本と台湾の橋渡し役として奮闘した。「日本市場の製品に対する要求を台湾本社にフィードバックすると、あまりに細かすぎると言われるのが常。日本市場を知る台湾人として、よく日台の板挟みになった」と笑う。それでも「ASUSが日本市場を非常に重要視していることもあり、最終的に要求が通ることが大半」という。

■能力に見合ったステージを

18年からはマーケティングマネジャーとPR担当を兼任するようになり、責任はさらに大きくなった。マーケティングを統括するかたわら、スマートフォン「ZenFone(ゼンフォン)」シリーズ、タブレット端末「ZenPad(ゼンパッド)」シリーズ、ノートPC「ZenBook(ゼンブック)」シリーズなどをはじめとする新製品のプロモーションに追われることも多い。「何かと落ち込みやすい性格」ゆえに悩みは尽きないが、そんな時はかつて部下から言われた「会社は生き物で、変化しながら成長していく。辛いときはきっと成長痛」の一言を思い出すようにしている。

今年でASUSに入社して17年。目の前の課題は「社内の人材にステージを与えること」だ。「ASUSは大きな会社だが、ベンチャーのように意見を出しやすい空気がある。能力があるのに脚光を浴びない部下がいればケアをして、より多くのステージに立たせてあげたい」と述べる。「満員電車に乗れない人を、自分の周りでは作りたくない」というシンシアさん。日本と台湾、本社と支社だけでなく、社内でも橋渡し役として奮闘する日々が続く。(東京編集部・岡崎裕美)


関連国・地域: 台湾日本
関連業種: IT・通信社会・事件

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