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【アジアで会う】宮坂剛矢さん スケートボード選手 第200回 マレーシアから東京オリンピック目指す(マレーシア)

みやさか・こうや 1999年マレーシア・セランゴール州生まれ。5歳からスケートボード(スケボー)を始める。8歳から国内のスケボー競技会に参加し、優勝を含め入賞を重ねる。兄が製作した動画「スポンサー・ミー」を通じ、国内外で天才スケボー少年として広く知られるようになる。2020年の東京オリンピックに、マレーシア代表としての出場を目指している。

マレーシア有数の観光地ペナン島。世界遺産の街並みジョージタウン地区から内陸へ自動車で10分ほど走った場所に、市民が憩う「ペナン・ユースパーク」がある。一角に設けられたスケートパーク施設にはいつも、スケボーの練習に黙々と励む青年の姿がある。スケボー選手の宮坂剛矢さんだ。

■4歳でスケボーに出会う

和食の料理人である父親の職場があったスランゴール州で生まれた。4歳のとき、両親と兄、姉とともにペナンに移住。間もなく、幼稚園の遠足でスケートパークを訪れた。コンクリートでできた巨大な湾曲する斜面を見上げ、「ここを滑ってみたい」と思ったのが、スケボーを始めるきっかけだ。母親に頼み込み、5歳の誕生日にボードをプレゼントしてもらった。

それからは毎日のようにスケートパークへ通った。8歳になると国内の競技会に出場するようになり、スケボー界で「ペナンから来たすごい少年」として知られるようになる。

各地の競技会で息をのむようなトリック(技)を決めて観衆を熱狂させる剛矢さんだが、その才能が開花したのも、一つのトリックを決めるために何千回、いや何万回と練習を重ねる「努力」があったからだ。体のそこかしこには、いつのケガか思い出せないほどの傷が残る。

■家族の支え

剛矢さんは、そんな努力を継続できたのも、家族のサポートがあったからだと強調する。忙しい和食店経営の合間を縫って、国内外の競技会遠征を支えてくれた両親はもちろんだが、8歳年上の兄・勇輝さんのサポートが大きいという。

剛矢さんと一緒にスケボーをはじめた勇輝さんは、スケボーのトリックを本やインターネットで調べ、練習方法を研究してくれた。やがて勇輝さんは映像編集の能力を生かし、剛矢さんのスケボー・プレイを撮影・編集して動画共有サイト「ユーチューブ(YouTube)」に投稿。すると、100万回以上の再生回数を記録するヒットとなり、剛矢さんの存在が国内外に広く知られるきっかけを作った。

勇輝さんは5年前、思いがけない事故でこの世から旅立ってしまった。「一緒に練習してくれて、自分の動画も作ってくれて、いつも自分を前へ前へとプッシュしてくれたのはお兄ちゃんだから」。剛矢さんは笑顔でそう話す。今もスケボーに乗る時には、兄の「プッシュ」を感じている。

■マレーシアから東京五輪へ

剛矢さんは今、マレーシアの永住権(PR)取得を申請中だ。スケボーが競技種目に追加された2020年の東京オリンピックに、マレーシア代表として出場することを目指している。

日本国籍を保持しながらのマレーシア代表志望は、複雑な反応を呼ぶかもしれない。ただ、マレーシアで生まれ、インターナショナル・スクールで地元の友人たちと学び、ペナンのスケートパークで育ち、自分を「ジャパニーズ・マレーシアンみたいいなもの」と形容する剛矢さんにとって、日本もマレーシアも愛しているからこそのごく自然な選択だった。既に国内スケボー公式団体の強化選手に指定されている。

剛矢さんの日本の帰省先は、長野県の下諏訪町。思い浮かべる祖国の風景には、諏訪湖と八ケ岳、諏訪大社があるそうだ。日本の好きなところは「食べ物」。マレーシア特産のドリアンは苦手だ。

スケボーの素晴らしいところは、「ボードに乗っていると、国籍も人種も関係なく、みんな『スケートボーダー』になるところ」だと剛矢さんは言う。では、スケボーをプレイしたり観戦したりする上で大切なものは何だろうか。「ジャスト・ハブ・ファン、楽しむことだと思います」。

東京オリンピックの舞台に立つために、剛矢さんは今日も、厳しいスケボー練習を本気で楽しんでいる。(マレーシア編集部・北原知也)


関連国・地域: マレーシア
関連業種: 社会・事件

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