JFEエンジニアリングは、廃棄物発電所や水処理施設などのプラントを一括で遠隔監視する「グローバルリモートセンター(GRC)」の運用をこのほど開始した。横浜本社に本部、フィリピン子会社に分室を置き、両国のスタッフが運転監視や操業支援などに当たる。投資規模は約5億円。日本国内を中心に現在は58カ所の監視対象を、2021年3月末までに100カ所へ拡大させる構想だ。
これまでプラントごとに設けていた遠隔監視室をGRCに集約することで、業務の効率化と機能強化を図り、全世界にサービスを提供できる体制にした。GRCの本部では、横浜本社のスタッフと人工知能(AI)がプラントを遠隔監視するほか、AIやビッグデータを活用した予兆診断による故障防止や、故障したプラントの正常化に向けた操業支援サービスを提供する。フィリピン子会社のJFEテクノマニラ内に設けた分室は、障害が発生した際の復旧サポートを本部とともに行う。
JFEテクノマニラは、JFEグループが設計・調達・建設(EPC)を手掛けるプラントの設計業務を担当している。JFEエンジの広報担当者はNNAに対し、「障害復旧にはプラントの設計者の意見が欠かせないため、フィリピンに分室を設けた」と説明した。
横浜本社では常駐スタッフ2~3人のほか、本社所属のエンジニア約200人がGRCに関わる。フィリピンの分室では、約10人が障害発生時の対応に当たる。
現在の監視対象プラントは、日本国内57カ所、海外1カ所。JFEエンジが設計建設したヤンゴン市のごみ焼却発電所が海外唯一の監視対象となり、GRCの本部と分室の両方でカバーしている。広報担当者は、「今後は当社がEPCを手掛けたプラントを中心に、海外で遠隔監視サービスの導入を広げ、20年度には監視対象を日本90カ所、海外10カ所程度に増やしたい」とコメント。「海外プラントが増えれば、フィリピン分室が担う役割はさらに大きくなる」との見通しを示した。
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