台北市信義区で建設中の全天候型多目的ドーム施設「台北大巨蛋(台北ドーム)」が、台北市の命令で約3年にわたり工事が中断している問題で、台北市政府都市開発局は13日、建設主体の遠雄建設事業(ファーグローリー・ランド・デベロップメント)と協議の場を持った。市側は台北ドームの用途について「プロ野球などスポーツイベントに限定し、コンサートなどの音楽関連は不可とする」見解を遠雄側に伝えていたことが分かった。
14日付中国時報が伝えた。ドームは8割方が完成した段階で野ざらしになっており、一刻も早く工事を再開して完成にこぎつけたい遠雄は、市の要求を不合理として反発している。
協議の席で都市開発局の林洲民局長は「地下5階から地上への避難経路など、安全対策に関する設計がなお、技術的規定を満たしていない」と指摘。また、コンサート会場に設ける観客席と舞台の位置は地下7メートルを下回ってはならない規定があるが「台北ドームの現在の設計は10.5メートルだ」と述べ、コンサートの開催は不可能との見解を示した。
林局長の指摘に対し、遠雄の広報担当者は「台北ドームの用途については、2011年の建設免許取得前に充分な議論を重ねている」と反発。また、市側がこの時期になって用途に疑義を呈していることについても「明らかに不合理」と述べ、不快感を露わにした。
遠雄は今後、市政府からさまざまな要求について、法制度などの証拠をそろえた上で、4月に書面で提出した上で議論する姿勢を示した。
台北ドームは、日本統治時代に設けられた総面積18ヘクタールの旧台湾総督府専売局松山煙草工場(旧松山タバコ工場)を民間資本によるBOT(建設、運営、譲渡)方式で再開発する計画の一環で、うち10.2ヘクタールを占める「台北文化体育園区」(台北ドームコンプレックス)の中心施設。4万人を収容するドームやホテルとオフィスが入居するビルなどを設け、12年4月に着工し、15年6月に完成する予定だった。
だが、工事により付近の文化財指定建築と台北MRT(台北捷運)の軌道に亀裂などが生じ、市は建築法に違反しているとして15年5月に工事の中止を命じた。
■建設再開の動き、市側が否定
一方、一部のメディアは「台北市が建設再開に同意したのでは」と報道。最近、ドーム最上部の屋根を建材で覆う作業が行われたことが根拠としているが、都市開発局は「防災措置の一貫だ」と述べ、工事の再開を否定した。
同市の柯文哲市長は、「ドームの屋根部分の足場が弱くなっており、台風襲来で崩れ落ちかねない」と指摘。都市開発局も、ドームの3階以上の外部空間に倒壊しかねない部分があるとの法院(裁判所)の指摘を受け、「足場の補強や風雨により発生した鉄骨のさび止めなど一連の安全対策を講じなければ建設再開は同意できない」との見解を示した。台北市は4月3日に会議を開き、建設再開に関する今後の審査手順を協議する予定。
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