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【アジアで会う】森土卓磨さん RGFセレクト・インディア 第192回 ウルドゥー語が南アジアとの架け橋に(インド)

もりど・たくま 1987年東京都生まれ。大阪外国語大学地域文化学科(現大阪大学外国語学部)卒業。大学ではインドの公用語の一つであるウルドゥー語を専攻。専門商社を経てリクルートグループの海外法人で、人材紹介事業を行うRGFの上海拠点に入社。2015年5月にRGF・セレクト・インディアのデリー支店に異動し、企業や転職希望者のコンサルティングに従事している。17年6月~12月に「The Daily NNAインド版」の連載企画「インド人からみた日系企業」を執筆。

やわらかな語り口で人懐こさが印象に残る森土さん。生まれは東京都だが、小学校から大学卒業までのほとんどを関西で過ごした。大学で専攻したウルドゥー語は、ヒンディー語や英語などとともに、インドの公用語の一つだ。アラビア語から派生した言語で、主に南アジアのイスラム教徒の間で使われている。日本人にとってはなじみの薄い言葉といえる。「将来的に外国で働くことを希望していたため、正直に言うと、外国語大学に入れれば、言語は何でも良かった」と話す。しかし、何気にウルドゥー語を専攻したことが、その後、森土さんと南アジアとの関わりを形作っていくことになった。

■最初の印象は「インド人はずる賢い」

初めての外国旅行は、大学在学中の08年。ウルドゥー語を公用語とするパキスタンへの研究のためのフィールド・ワークだった。同国では07年にブット首相が暗殺され、森土さんが訪れた当時も治安は決して良いとはいえなかったが、「思ったより人は優しいし、街もきれい」で悪い印象は持たなかったという。その後、インドも訪れ、大学時代にパキスタンとインドでそれぞれ2カ月ほど過ごした。当時は「パキスタンに比べて、インドは外国人が多く、旅行者に対するぼったくりや物乞いが目立ち、ずる賢い印象」だったという。インドとの関係が深くなった現在は、「当然だけれど、それは一部で、インド人の多くは温かい」と印象は大きく改善した。

大学を卒業後、バングラデシュ皮革の専門商社に入社。関西支社の立ち上げに参画し、営業・仕入・人事などを担当した。

その後、アジアを中心に人材紹介事業を行うRGFに転職した。「ヒト」「モノ」「カネ」というビジネスの3つの要素のうち、商社ではモノに携わった。カネは書物などでも勉強できるが、ヒトは実際に経験を積まないと分からないと考え、人材紹介の世界に身を投じることに決めた。

■良い人材を得るためのコツ

経済成長の著しいインドにあって、人材紹介業者は個人経営を含め、無数に存在する。日本などに比べて個人情報保護の概念が弱い同国では、インターネットなどで人材情報を探すことは比較的容易だ。しかし、有象無象の情報が氾濫する中で、本当に必要な情報を絞り込むのは難しい。人材紹介会社は、求職者の能力・意欲や転職意思を見定めることを含め、企業が望む人材を見極める手助けができるという。

森土さんは、良い人材を得るための第一歩として、企業側も「良い人材」の定義をはっきりさせることが重要と説明する。それぞれの企業が、「何をやってほしいのか」「その人材を得て事業をどうしたいのか」などをできるだけ明確にできれば、短期間で効率良く候補者を絞り込むことができると話した。

■インド式に順応する謙虚さを

昨年6~12月に6回にわたって執筆した「インド人からみた日系企業」では、インド人と日本人との文化的背景などに由来する相互の誤解やその解決法を紹介した。

森土さんは、インドに実際に生活する人材紹介業の立場から、さまざまなトラブルに巻き込まれた日本人駐在員が陥りがちな「これだからインド人はダメ」という「上から目線」の発想に警鐘を鳴らす。「われわれ外国人はインドで仕事をさせてもらっている立場。『郷に入れば郷に従え』の精神で、インドの様式に従う謙虚な姿勢が大切」と話す。

インド人との誤解は、コミュニケーション不足によって生じることが多いが、日本式の「阿吽(あうん)の呼吸」ではなく、「してほしいこと、してほしくないことをしっかりと言葉で伝えることが大切」と強調する。

インド人の使う英語は独特の発音などもあり、米国や英国で英語を学んだ日本人にとっては面食らうこともある。その場合でも、「米英で学んだ自分の英語が正しく、インド人の英語は正しくない」という発想ではなく、英語はコミュニケーション・ツールにすぎないという前提に立ち返って、インド式の英語に順応するしなやかさが大事だと説明した。

体を動かすことが好きという森土さん。休日はバドミントンやトレーニング・ジムでのランニングなどで汗を流す。また、インド人、日本人にかかわらず、気の合う仲間と会食することが良い気分転換になっているという。(インド版編集・須賀毅)


関連国・地域: インド
関連業種: マクロ・統計・その他経済雇用・労務社会・事件

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