楽観ムードの金融市場に警告、財政長官

香港政府の陳茂波(ポール・チャン)財政長官は26日に公式ブログを更新し、香港金融市場に漂う楽観的なムードに注意を呼び掛けた。発生する確率が高い上に影響も大きい金融リスクである「灰色のサイ」に警戒すべきだとしている。

ブログでは、「足元のグローバル経済は回復基調にあるものの、株式や不動産市場の盛り上がりに加えて、金利上昇圧力の高まりや、保護主義化への懸念、地政学的リスクの高まりなどを背景に、リスクがないわけではない」との見方を表明。世界の金融市場が過去数十年に幾度となく危機を経験しているとした上で、「われわれは憂患の意識を持たなければならない。眼前の一時の繁栄に気を緩めず、突然訪れる『ブラックスワン』の出現に限らず、発生する確率の高い潜在的リスク『灰色のサイ』に対してもひときわの警戒が必要だ」との認識を示した。

陳財政長官は、香港の資産価格が今年に入ってから、上昇を続けている現状も指摘。民間住宅価格は今年1~9月に前年同期比で10%上昇し、株式市場でも、代表的指数であるハンセン指数が先週に終値で30000を超えて、10年ぶりの高値をつけたことを例示した。「市場に楽観ムードが漂う中で最も怖いのは、投資家の警戒心が鈍って各種のリスクを見落とし、市場に逆転現象が起きた際に冷静に対応できずにパニックが起きることだ。これは個人投資家だけでなく、実体経済や金融の安定にインパクトをもたらす」と警告した。

「香港には2008年の金融危機以降、1,300億米ドル(約14兆4,900億円)の資金が流入し、これらの流入資金は今も香港の金融システムに停留している。市場の楽観ムードの下で、多くの投資家が資産価格の上昇を好感しているが、中長期的に見れば、資産価格が上昇一辺倒を続けて下落しないということはあり得ない。その動向は金利の変動に左右されるものだ」と解説。米国が利上げと資産縮小によって、金融危機時の緩和措置の「出口戦略」を講じ、これに追随する形で欧州中央銀行(ECB)も来年以降、資産購入プログラムの月購入額を300億ユーロ(約4兆円)に縮小することを決定するなど、世界的に金融政策の「正常化」が進む中で、「香港の利上げも時間の問題だ」とし、「これまで持続してきた低金利期待が後退すれば、香港の株式、不動産市場はその影響を免れることはできない」として、投資家に慎重な投資を呼び掛けた。


関連国・地域: 香港
関連業種: 金融・保険政治

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