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EV化の波、部品メーカーに商機と不安 東京モーターショー

27日に開幕した東京モーターショー。完成車メーカーが頂点に立つピラミッド構造の「系列」が将来、電気自動車(EV)化、自動運転化によって消滅する可能性が高いともいわれる中、部品メーカーが将来の技術革新を見据え、攻勢をかけていた。

「私たちはあくまでもサプライヤーだ」と語るボッシュのロルフ・ブーランダー取締役=東京(NNA撮影)

「私たちはあくまでもサプライヤーだ」と語るボッシュのロルフ・ブーランダー取締役=東京(NNA撮影)

「系列が緩くなっていること、日本メーカーの生産が海外にシフトしていることはわれわれにチャンスとなる」。独自動車部品大手ボッシュのロルフ・ブーランダー取締役は会場でこう語った。自動運転やコネクテッドカー(つながる車)、電動化に関してモジュール化された部品類をセットで売り込むボッシュ。「交通事故・排気ガス・運転手のストレス」のない自動車がブースのテーマだ。EV向けの電動車軸、緊急通報が可能なコネクテッドカーのデモ車のほか、来年から日本で販売する電動アシスト自転車などを展示している。パイオニアの地図子会社、インクリメント・ピーと車載センサーを使った自動運転用高精度地図の分野で協業することも会場で発表した。

汎用的なEV・自動運転システムを自動車業界全体に供給するようになるボッシュや米グーグルなどの競争優位性が高まり、将来はトヨタ自動車がサプライヤーと呼ばれる日が来るのではないか、との質問に対しては、「私たちはあくまでも完成車メーカーのサプライヤーであることに徹する」と笑みを浮かべながら答えた。自動運転などの技術を持つソフト企業についても、ハード(部品や車の製造)の部分を実際に担うのは難しく、そこにボッシュの強みがあると述べた。

独タイヤ大手コンチネンタルも、タイヤに設置したセンサーを経由して取得するデータや自動ブレーキ、無人運転など領域を広げた関連製品を展示していた。トヨタの主力車種「カローラ」の衝突回避システムの一部が2015年、トヨタ系のデンソーではなく、コンチネンタルが採用された衝撃は記憶に新しい。

ボッシュ・コンチネンタルに対抗するデンソーの有馬浩二社長はモーターショー会場で26日、20年までにEV化・自動運転化に5,000億円を投じると発表した。

■EVで部品点数減

高まる巨大部品企業の存在感。クラッチ製造大手、エクセディの担当者は、「EV化によって、1台当たりのクラッチ部品点数は少なくなる。どんな新製品が将来花開くのか分からないが、開発の種まきをしなければならない」と述べ、一つの製品に特化した「一本足打法」では太刀打ちできなくなる、と危機感をにじませる。

完成車に使われるNTNの部品群。右前の車輪はインホイールモーター=東京(NNA撮影)

完成車に使われるNTNの部品群。右前の車輪はインホイールモーター=東京(NNA撮影)

一方、ベアリング製造大手のNTNは、EV化によって1台当たりのベアリング点数は減少するが、「EVを含む自動車生産台数は現在の水準を上回るため部品総需要は増える」との見方だ。同社は今後、EV化によってタイヤの回転を支えるハブベアリングとモーター、電子制御を一体化して売り込む。

EVでの採用が見込まれるインホイールモーターの開発にも注力する。モーターを車体ではなく、タイヤのホイール内に設置することで室内空間を広くすることが可能になる。同社の担当者は、ガソリン車・ハイブリッド車・EVあらゆる車種に対応して、多岐にわたる商品ラインアップの開発や量産技術を磨く必要があると話す。

■発想が自由に

ダイハツの商用EV「DNプロカーゴ」。かつての三輪車「ミゼット」をイメージしたコンセプトカー。運転席後方のレイアウトが自由なため、移動販売や訪問医療での使用を想定=東京(NNA撮影)

ダイハツの商用EV「DNプロカーゴ」。かつての三輪車「ミゼット」をイメージしたコンセプトカー。運転席後方のレイアウトが自由なため、移動販売や訪問医療での使用を想定=東京(NNA撮影)

EVは、エンジンの代わりに電池が車体下部に並べられるため、レイアウトが自由になる。ダイハツが公開した「DNプロカーゴ」は、用途に合わせて運転席後方のレイアウトを変えられる。

さらに、完全自動運転車であれば、ハンドル・計器類も不要となり、レイアウトに制約がほぼなくなる。トヨタ紡織はそうした時代を見据えたコンセプトカーを展示。ホンダはブース内に、家のリビングの一部がそのまま自動車として移動するモデルルームを展示した。

こうしたEVのレイアウトの自由さについてメーカーの関係者は、「EVベンチャーもどんどん参入しやすくなる。将来は、モーターや車体などの下部と、自由にデザインする架装(上部)が分かれた販売スタイルになり、完成車メーカーの優位性は低下するかもしれない」と話す。

「自動運転や電動化など最新技術の融合をみてほしい」。東京モーターショー開会式で豊田章男・日本自動車工業会(JAMA)会長代行はこう述べた。各ブースをめぐると、未来の車・モビリティーへの答えは一つではないことが実感できる。(遠藤堂太)

トヨタ紡織のブース。軽自動車の完全自動運転を想定し、自由なシートレイアウトで移動や駐車時間を個室空間に=東京(NNA撮影)

トヨタ紡織のブース。軽自動車の完全自動運転を想定し、自由なシートレイアウトで移動や駐車時間を個室空間に=東京(NNA撮影)


関連国・地域: 日本欧州
関連業種: 自動車・二輪車運輸IT・通信マクロ・統計・その他経済

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