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【アジアで会う】後藤信介さん TVP代表 第169回 地元企業の資金調達を支援(ミャンマー)

ごとう・しんすけ 1978年、埼玉県川口市出身。名古屋大教育学部卒。2002年大和証券グループ入社、公開引受部や経営企画部に所属、在職中の13年にハーバードビジネススクール卒業生資格を取得した。14年から同社100%出資のミャンマーコーポレート社長。同社解散後の16年8月に独立し、トラスト・ベンチャー・パートナーズ代表。

ミャンマーのコンサルティング会社トラスト・ベンチャー・パートナーズ(TVP)代表の後藤さんは、外国企業と地元企業を結びつけて資金調達や事業拡大を支援するアドバイザリー業務を展開している。2011年の民政移管以降、経済成長が続く同国では建設、サービス、医療などの分野で投資が相次いでいるが、地元企業は資金調達できず、思うようにビジネスチャンスを生かし切れていないのが現状だ。

伝統的に銀行機能が弱く、経営者が自己資金を投じて事業拡大してきたミャンマーで、TVPは投資ファンドの活用、M&A、合弁事業といった手法を提案。外資大手コンサル会社が通常行うデューデリジェンス(事業・財務状況調査)に加え、市場調査や人材紹介も請負い、企業の成長を促している。

「国内では経済成長に比例して、アドバイザリー業務の重要性が高まっていくだろう。大手コンサル会社にできない圧倒的な付加価値をつけたサービスを展開していく」。成長を加速する同国の流れに乗り、確固たる地位の確立を狙う。

■証券取引所の知識深める

大和証券グループに入社したのは「将来的に経営者になりたい」と思っていたから。経営者の近くで仕事をできる環境に身を置きたかった。

入社3年目の公開引受部で、企業のIPO(新規株式公開)など証券取引所への登録を目指す企業の支援を担当。1社当たり1年半~2年程度通い詰め、会計、法律面で上場基準を満たす作業を手伝い、知識を深めた。

当時、特にニーズが高かったのがIT業界。財務諸表のほかに、ポータルサイトの登録者数など、投資家へのアピールのため、どのような開示資料が必要になるか考え、助言した。経営者と間近に接する機会を得て「サラリーマンとは仕事そのものや雇用など、抱えているものが違う」とあらためて感じたという。

■初の証取所設立を後押し

09年に企画部門に配属された後、ミャンマーでは国内初の証取所を作ろうという動きが出ていた。

大和証券は1996年、ミャンマーで企業株式の店頭取引を行う合弁会社を設立済み。2012年5月に大和総研、ミャンマー中央銀行、東京証券取引所の3者が証取所設立の支援で覚書(MOU)を交わすと、経営企画部内にはミャンマービジネス企画室が立ち上がった。

後藤さんはメンバー4人のうちの1人に選ばれた。公開引受部の経験を背景に上場候補になる企業を開拓することになり、ミャンマーと日本を1カ月単位で往復する生活を送り始めた。

「証取所がなかった上、金融市場への不信感が強い国。とにかく企業を回りまくり、自由市場で資金調達すれば企業の成長につながるメリットを説明した」

新たな仕組みだけに理解を得るのは簡単ではなかったが、14年4月に大和証券100%出資の現地法人社長に就任し、常駐態勢を整えて奔走。15年12月のヤンゴン証取所(YSX)開設後、16年3月に支援先の財閥系持ち株会社を第1号上場企業として登録させ、見事に最初の使命を果たした。

■起業し付加価値高いサービス展開

証取所が機能し始めたことで、大和証券の現地法人は解散、後藤さんに帰国の命が下った。一方、ミャンマーの資本市場が盛り上がるのはこれから。「日本には戻ったが消化不良」との思いが強かった。

退職とミャンマーでの起業を決断するのに時間はかからなかった。解雇した現地法人の従業員約10人を呼び戻して、新会社を設立。「資金調達にはいろいろな方法がある」と、上場支援とは異なる手法のコンサル業務に力を入れ始めた。

市場規模の調査のほか、責任者として置ける財務担当者などの人材紹介、提携先企業の信用調査など、資金とともに必要な支援のワンストップサービスを展開。設立から1年余りで接触した企業数は300~400。従業員を約60人に拡大し、勢いづく。

今後は社内で企業情報を蓄積したり、顧客企業が提携先を探したりできるシステムの導入などIT面を強化する意向。現地の商社への出資や合弁事業など何らかの実業への投資も検討している。

事業の多角化を見据え「うまくシナジー(相乗効果)を出すことが、長期的な経営目標になる。ミャンマーには5,000万人の人口がおり、マーケットはどんどん広がっている」。地場企業との密接な関係性を生かした拡大戦略を描く。(ミャンマー版編集・佐々木琢磨)


関連国・地域: ミャンマー
関連業種: マクロ・統計・その他経済

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