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元判事の胡国興氏、行政長官選出馬に先陣

次期香港行政長官の座をめぐる戦いの火ぶたがついに切って落とされた。法曹界の重鎮とされる法院(裁判所)元判事の胡国興氏は27日、来年3月に行われる次期行政長官選挙に出馬すると正式表明した。正式出馬を表明した候補者は初めてで、先陣を切った形。胡氏は「梁振英行政長官は社会の分裂を招いており、香港人の利益を守ることはできない」と述べ、再選を目指す梁行政長官との対決姿勢を見せた。現政権が果たせなかった選挙制度改革に着手する考えも示した。胡氏は政治的に中立な立場を強調しており、民主派、親中派の双方が支持に回る可能性もある。

「誰であれ判事として数十年の経験を持つ自分以上に公平公正な判断をできる者はいない」と自信を見せた胡国興氏=27日、湾仔(NNA撮影)

「誰であれ判事として数十年の経験を持つ自分以上に公平公正な判断をできる者はいない」と自信を見せた胡国興氏=27日、湾仔(NNA撮影)

およそ200人ほどの報道陣が集まった記者会見場。支持者の同席はなく、たった1人で記者会見に臨んだ胡氏は開口一番に「梁行政長官では香港全体の利益の確保と香港人の社会に対する不満を解消できない」と批判した。出馬理由は「公平公正で調和のとれた社会の確立」だ。

「現在の香港は社会的に分裂しており、政治的にも難しい局面にある。香港人を幸福にしたい」と述べ、大規模デモ「雨傘運動」の発生や香港を自分たちの本土と主張する「本土派」の台頭を招いた現政権の力不足を指摘した。

胡氏は弁護士や裁判所の判事など、法曹界で数十年にわたる経験を持つことを強調し、「法曹界での経験から中立な判断ができる。政治的背景を持たない自分ならば、政党や派閥の対立も緩和できるだろう」と自信を見せた。

■5年以内に選挙制度改革を

具体的な政策には触れなかったものの、現政権が果たせなかった行政長官と立法会議員の選挙制度改革を5年以内に実現すると述べ、困難な課題に取り組む姿勢を示した。

ただ、選挙制度改革には中国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会が定めた「民主派が行政長官選挙に立候補することが事実上不可能な」決定案「831決定」があり、民主派が求めるような「平等な選挙」の実現は容易でないのが現状だ。

「831決定」の支持を問われた胡氏は「各政党の意見を集めて共通認識を作り出し、中央政府に報告する。そうすれば中央政府は対処するはずだ」と述べるにとどめた。

胡氏の出馬については民主派、親中派の双方から歓迎する声が出ている。一方、法曹界出身のため行政管理や香港最大の課題である住宅政策、経済、教育などの分野には疎いのではないかと、能力を疑問視する声もある。

ただ、胡氏は「確かに自分は経済や住宅政策に携わった経験はないが、それは大きな問題ではない」と述べ、懸念を一蹴した。

■曽財政長官が中央に打診か

27日付香港経済日報は、香港政府の曽俊華(ジョン・ツァン)財政長官が、行政長官選挙への出馬に向けて中国中央政府に打診したと報じた。

曽財政長官はこれまで出馬について明確な回答を避けてきたが、7月には「香港に貢献できるなら(行政長官を)務めたい」と初めて発言。消息筋によると、曽財政長官は既に中央政府に対して「出馬のゴーサインと支持を求める」打診を行ったという。

ただ、中央政府は12月に予定される行政長官選挙の投票権を持つ選挙委員(定数1,200人)の選出を待って長官候補の人選を進めるともされており、曽財政長官の打診には回答していないという。

次期行政長官選挙の投票日は来年3月26日。選挙委員によって選出される。2月中旬には候補者の指名が行われる見通し。胡氏や曽財政長官のほか、現職の梁行政長官、前立法会議長の曽ギョク成(ジャスパー・ツァン、ギョク=かねへんに玉)氏、親中派政党・新民党の葉劉淑儀(レジーナ・イップ)主席、林鄭月娥(キャリー・ラム)政務長官らの出馬が取り沙汰されている。

<メモ>

胡国興

1946年生まれの70歳

英バーミンガム大学法学部を卒業後、70年に香港に戻り法廷弁護士(バリスター)資格を取得。職業弁護士を経て92年から高等法院(高等裁判所に相当)判事を務め、選挙管理委員会主席なども歴任。12年に引退した。以後は今月18日まで高等法院の予備判事を務めていた。法曹界からの行政長官選挙への出馬としては初代行政長官選に出馬した2人に次いで3人目となる。


関連国・地域: 香港
関連業種: 政治

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