世界的な靴大手で台湾の宝成工業はミャンマーで靴を生産する。1億米ドル(約102億円)を投じて同国最大の都市ヤンゴンに年間360万足の靴をつくる工場を建設、2015年末の操業開始を目指す。完成すれば海外8カ国目の生産拠点となる。
地元メディアなどによると、宝成はヤンゴンに確保した16ヘクタールの用地に工場を建設する。蔡其瑞・最高経営責任者(CEO)によると、同社は年産360万足の能力でミャンマー工場での生産を開始するが、19年には3倍近い960万足まで拡大する。
海外生産のリスクを分散するため、ミャンマー進出を決めた。生産基地を持つ中国では人件費が高騰し、ベトナムでは反中感情が高まっている。インドネシア、米国、メキシコ、バングラデシュ、カンボジアにも進出しているが、生産地をさらに広げる方が、危機管理に対応しやすいと判断した。
欧米や日本への輸出拡大も、宝成がミャンマーに進出する背景にあるとみられる。日本と欧州はミャンマー製品の輸入関税を優遇する特恵関税制度(GSP)を実施しており、米国も早晩、同様の制度の適用を始めると予測されるからだ。欧米は軍事政権下のミャンマーに課してきた経済制裁を緩和している。
宝成は1969年の設立。ナイキやアディダス、プーマなど世界的なスポーツメーカーの靴を生産している。13年度の連結業績は売上高が前年比17.9%減の2,266億台湾元(約7,726億円)、純利益が4.9%増の106億台湾元だった。
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